「"5000万円"の老後資金」棒に振った女性の無念 「夫が先に亡くなって…」驚きの顛末とは?

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ただ自宅に住み続けるだけであれば、ご主人名義のままでも大きな問題は生じないかもしれません。

※2024年4月から相続登記の義務化(相続を知ったときから3年以内に相続登記をしなければならない)がスタートしましたが、「相続人申告制度」(自分が相続人であることを申告しておく制度。相続登記そのものではないので、不動産の名義が変わるわけではない)を使う方法もあります。

また、年金や奥様名義の預貯金もそれなりにあったことから、すぐに生活費などでお困りになることはないようでした。

しかし、いつか奥様名義の預貯金が底をつく日がくるかもしれません。

それに、このままご自宅に住み続けられるとは限りません。高齢者施設に移る際などに、きちんと相続登記が終わっていなければ、ご自宅を売却することができないのです。

「遺言書」さえあれば、悲劇は生まれなかった

老境に入り、長年迷惑ばかりかけられてきた大嫌いな義理の弟に連絡をとることのストレスはよくわかります。

しかし、このままではせっかくご主人が残してくれた財産を使うことができません。

このご夫婦は、どうすればよかったのでしょうか。

結論をいえば、これは「遺言書」を作ってさえおけば回避できた悲劇でした。

ご主人が「すべての財産を妻に渡す」という遺言書を残しておけば、奥様は義理の弟に連絡をとらずに済んだのです(きょうだいには遺留分〔一定の遺産をもらえる権利〕がないため、妻が100%相続できる)。

法的に有効な遺言書さえあれば、ご自宅も数千万円の預貯金も、奥様が問題なくすべて相続でき、何不自由のない老後を送れるはずでした。

これが子どものいない「おふたりさま夫婦」に、私が遺言書作成を強くすすめる理由です。

「相続のトラブル」を前もって回避しておくことは、「幸せな老後」につながると思うからです。

松尾 拓也 行政書士、ファイナンシャル・プランナー、相続と供養に精通する終活の専門家

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まつお・たくや / Takuya Matsuo

行政書士、ファイナンシャル・プランナー、相続と供養に精通する終活の専門家。

行政書士松尾拓也事務所代表、有限会社三愛代表取締役。

1973年北海道生まれ。父親が創業した石材店で墓石の営業に従事する傍ら、相続や終活などの相談を受けることが増えたため、すでに取得していた行政書士資格を活かし、相続・遺言相談をメイン業務として行うようになる。

信条は、相談者からの困り事に「トータルで寄り添う」こと。家族信託や身元保証など「新しい終活対策」についても積極的に取り組み、ライフプランや資産管理などの相談に応えるためにファイナンシャル・プランナー、住み替えニーズなどの相談に応えるために宅地建物取引士の資格を取得。ほかにも家族信託専門士、相続診断士、終活カウンセラー、お墓ディレクター1 級など、終活にまつわるさまざまな資格を取得する。

一人ひとりの「ライフエンディングシーン」(人生の終末期)で、最も頼りになるパートナーとなるべく、全方位視点で積極的な事業展開を行っている。

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