リクルート、「19歳・雪山ブーム」の仕掛人 ”スタートアップ屋”の、すさまじい開拓力

✎ 1〜 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 最新
拡大
縮小

この1年ほど、全国のスキー場に19歳の若者が詰め掛ける現象が起きている。その数は実に、日本に住む19歳の10人に1人。

バブル期、空前のスキーブームが到来し、全国の日本人がスキー場に押し寄せた。ところがバブル崩壊後、1993年をピークにスキー人口は急減。全国の2割のスキー場が廃業し、現在も多くのゲレンデで閑古鳥が鳴く。そのスキー場に、なぜ今、若者が戻ったのか。

その動きを生み出したのが、リクルートの「雪マジ!19」というキャンペーンだ。19歳であれば、全国100以上のスキー場で何十回リフトに乗っても無料、というものだ。

企画立案したのは、リクルートライフスタイルの研究員・加藤史子。

現在は研究員という肩書きの加藤だが、入社以来、長く歩んで来たのはネットビジネスの世界、それもほとんどが“立ち上げ”だった。詳しくは後述するが、その加藤だからこそ思い浮かんだのが、雪山の世界に“フリーミアム”を導入しようというアイデアだ。

フリーミアムとは、最初に基本的なサービスなどを無料で提供し、追加機能や継続をする際に課金をしていく仕組み。「最初は無料」という呼び水で集客に成功した例は、モバゲーやGREEなどのソーシャルゲーム、学生無料の携帯電話プランなど多数ある。

ただ、雪山の世界に、フリーミアムという考え方はなかった。業界からの反発もすさまじいものがあった。

次ページ研究員なのに、全国に仁義を切りに行く
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT