――『an・an』は、いつもグラビアが特徴的ですよね。あまり見たことのない俳優さんの表情だったり、アングルだったり。ニヤニヤしながら見てしまうのですが(笑)、どんなところにこだわって撮影されているのでしょう。
それはもう、すごくこだわって作っていますよ。とにかく、女性の「妄想」に応えるということが大事だと思っています(笑)。たとえば、向井理さんのグラビアであれば、“向井さんと恋人である自分”にしか見られない目線で撮ろうと思っているんですよ。
向井さんのグラビアなんて、ネットでググれば何千枚と出てきます。しかも無料で。そんな中で、450円の雑誌を買ってもらうためには、ネットよりもっともっと上を行かなければならない。つまり、どれだけファンの妄想をかなえてあげられるかが重要なんです。
――なるほど。向井さんと自宅で2人きりで……みたいな、よりリアルな感じですね。
そうそう、隣で寝ころんでいると。水を飲もうかと自分が起き上がったときに、不意に目が合う、たとえばそういう瞬間の表情ですよ。2人だけで、至近距離にいるときにしか見られない横顔とか、鎖骨とか。グラビアだからって、ただ裸になりゃいいってもんじゃないんです(笑)。
テレビ誌のように、風船で背景を飾ったりしてポップに撮るのも、それはそれでいいんです。でも、『an・an』の読者の願望はそこにはない。ファンは、向井さんと2人きりでいたいわけです。カメラマンにはいつも、「今日は恋人の女性の目線でよろしくね」と声を掛けていますね。
”僅差”をとらえられるか、どうか
――そこまでのこだわりを、読者はどうとらえているのでしょうか。
本当に細かいところまで、よく見ていただいていますよ。「唇にかかっている指がいい」とか、「このときの、無防備な目の表情がいい」とか、ディテールにすごく注目してくださっていて。結局、読者に届くものになるかどうかは、“僅差”なんですね。それを積み重ねられれば、読者の願望をかなえられると、僕は思っています。
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