――『non・no』の主要読者は20歳前後の、「サトリ世代」とも言われる層ですね。モノを買わない、外に出掛けないなど、保守的で意欲が低い世代と言われることもありますが、湯田さんから見ると、この年代の女子はどのような人たちでしょうか。
サトリという言い方は、私には少し違和感がありますね。5年くらい前、この世代が高校生だったときは、ギャル雑誌がすごくはやった時代でした。思いきりギャルを楽しんでいた子たちが、大学生や社会人になって、巧みに眉毛を太く生やし、ナチュラル系ファッションに身を包んで、再デビューをしているんですね。
彼女たちがギャルだった高校生時代に目指していたものは、おそらく自分ではない、他者だったのではないかと思います。でも今は、その目指すものが自分自身の中にある。向上心がなくなったとか、そういう感覚とは少し違って、今の自分の延長でもっとかわいくなりたい、人から好かれたいという感覚でしょうか。
私は、それでいいような気がするんです。自分に素直で、自分の願望をかなえてくれる商品やサービスに出会って、消費する。現在の自分を否定してどこか高いところを目指すより健全だし、「今、ここにいる自分じゃない存在になりたいんだ」という切迫感がない分、余裕がある。しかも、それを楽しむセンスのよさも落ち合わせている世代だと思いますよ。
――自分の延長にあるかわいさ、ですか。『non・no』で扱うファッションについても、こういう感覚がベースになっているのでしょうか。
『non・no』のファッションをおとなしい、冒険心がない、つまらないと言う方がいらっしゃいますが、何をおっしゃっているのかしら、と言いたいですね(笑)。 私たちは、今の女の子たちの感覚に合わせて誌面を作っているんです。決してそれは大げさじゃなくて、目立つ形でもないけど、こなれていて、とってもかわいい。
ここには、過激で、とんがったスパイスはないかもしれないけど、そもそも読者が求めていないものを入れる必要はないのです。
「女子会」から「女子デート」に移行する理由
――性格という面では、この世代に共通するような傾向がありますか?
今の20歳前後の人たちには、図々しくない、おっとりしている人が多いですね。とても素直で、何事にもガツガツ入っていこうとしない。恋愛の志向も変わってきています。
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