「サトリ世代」は、”欲望レス”世代じゃない 『non・no』編集長に聞く、ハタチの現実

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かつては、自分よりずっと年上の、かっこいい女優さんが持っている商品やブランドにあこがれ、飛びつくといったことがよくあったと思うんです。でも今の子たちは、自分たちの仲間内で「いいね」って言い合いたい、お互いに認め合いたいという気持ちが強く、上の世代の人のものは自分には関係ない、という感覚を持っています。

マスをつかむための、6大モデル

――確かに、かつては世代を超えて、みんな持っているブランドが似たり寄ったりでしたね。どの世代もトラッドファッション一色とか。それが一様ではなくなっていると。『non・no』の媒体説明資料にも「マスなき時代の、マスな女の子をつかむ」とありますが、これは大変そうです。

本当に大変です(笑)。ただ、マスな女子をつかむのも非常に難しいですが、たったひとりと限定してつかむのも、それはそれで難しい。たとえば、たったひとりのファッションモデルを全面に出した雑誌を作っても、おそらく10万部も売れない雑誌にしかならないと思います。

そこで『non・no』では、“6大モデル”を打ち出しています。それぞれのモデルに一定のファンがついているので、それが積み上がって部数につながっています。

それに、最近の若い子にとっては、複数のあこがれの人、複数のスタイルのサンプルが必要なんですね。イマドキの女の子たちは、「自分はこういう人」という型にはまるのを嫌っていて、毎日、それも無理なく変身したいという願望があるのです。

――“6大モデル”という形は、昔からやっているわけではないのですね?

さかのぼって考えれば、10年前、雑誌のメインを張るモデルはせいぜい2人でした。「かわいい系」と「かっこいい系」と、ざっくり2大スタイルでよかったんです。ところが、今はそんなに単純ではなくなりました。これには、自分の所属するコミュニティ内でどう評価されるかが、若い人たちの大きな関心事になったことが大きく関係しています。

知らない人たちに評価されるのではなく、自分のよく知っている人たちのコミュニティ内で認められたい。それに飽きられたくないから、毎日違う格好をしたい。でも、ひとりのモデルのスタイルだけ見ていると、コーディネートのアイデアがすぐ尽きてしまう。そこで彼女たちが今やっているのが、「複数のあこがれのモデル×複数のファッションブランド」。自分の持ち札から自由な組み合わせを作って、無限に自分を演出するんですね。

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