こうした需要に伴って、雑誌の作り方も、昔とはおのずと変わってきます。要するに、コーディネートが中心になる。コーディネートの多さは『non・no』の特徴だと思います。おすすめの服を1カット大きく掲載するだけでは、読者が「それで、その服からどんな組み合わせに発展するんですか?」という気持ちになってしまいます。
ですから、ひとつのものを10通りに着回せますよとか、背が低くてもこうすればスタイルがよく見えますよといったように、非常に具体的で、わかりやすい見せ方をしています。「買いたい」と思わせるためのカギは、まさにそこにあるのではないかと。「そこまで細かく言わなくても、わかるよね?」というスタンスでは、もはや振り向いてもらえません。
――なるほど。これもやはり「自分に関係あるかどうか」を計る大事なポイントになるわけですね。
とにかく、読者に疎外感を与えてはいけないわけです。たとえば雑誌を開くとき、私自身もそうですが、いちばん前から順番にめくって見るとは限らないですよね。書店で立ち読みするときなど、開きやすいところをパッと開く。でもその瞬間に「このページ、何だかよくわからない」と思われると、興味すら持ってもらえないのです。
ですから、初めて見る人でもわかるように、説明はくどいくらいにするんです。たとえばモデルの佐藤ありささんは、毎号、誌面に出ている方ですが、彼女の出ているページタイトルには必ず「ありさの」という言葉を補います。さらに、何をやっているかもはっきりわかるように、「ありさの腕盛りアクセ」とする。
すべてのページをそういう風に作り込まないと、すぐ疎外感を持たれてしまうんですね。「あなたのための雑誌です!」という感じは、とにかく毎回強調します。はっきりと、くどく、くどく(笑)。
――「サトリ世代は消費意欲も低い」と言われたりしますが、実際のところはどう感じますか?
ファッションにおカネはかけていると思いますよ。それをアピールしたいのが、より多くの人なのか、限られたコミュニティの人なのかという違いはあっても、いつの時代も「かわいく見られたい」という欲求は必ずあります。
それに、この世代は、非常にいじめが問題になった世代なんですよね。そうしたこともあってか、みんなに認められたいという気持ちが非常に強い。おしゃれにかける情熱は大きいと感じます。
この世代は母親がバブル世代だからか、経済的な感覚もどこか楽観的です。母子がとても仲良しで、一緒に買い物に行ったり、服を共有したりしている人も多い。最近では兄弟や父親の話をたくさんする女子も多くなってきました。震災の影響か、より近い人と、強い関係を結んでいきたいという考えが強まっているのかもしれません。
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