――そのあたりの絶妙なバランスですね。もうひとつの日本と言っても単に過去に戻るのではなく、進化している。
そうですね。伝統を進化させるのが私たちの仕事だと思っています。やはりわれわれは温泉旅館なんですね。今でも日本人はいわゆる伝統的な旅館を思い浮かべるけれど、そろそろそういう時期ではないのではないかなと思っていて……。
旅館は旅館の形として残したい。日本人らしいホスピタリティだったり、しつらえとか、畳なども生かしていきたいと思っていますが、そこには進化がないといけない。サービスも進化すべきですし、設備や備品も進化すべきです。
日本旅館にはシャワーもありませんよね。多くのお客様をお迎えするための利便性は必要です。
料金は、競争力の見え方
――客室料金は決してお安くないですが、リピート率が高いと聞きます。
星のやの中では、リピートは軽井沢がいちばん多いですね。他社と比べられませんが、感覚的には日本の宿泊施設では多いほうだと思っています。料金はマーケティングの組織が頻繁に変えています。基本的にはお高めな料金を頂戴していますが、それが私たちの競争力の見せ方だと思っているのです。それだけの料金を頂戴しても「見合っているな」と思ってくださるお客様が、リピーターになっていただいているのだと思います。
――主な客層を教えていただけますか。
いちばん多いのは、やはりご夫婦とかカップルで、次がご家族ですね。あとは団体のお客様とか、女性の友達同士とか。年代は星のやの施設によっても違いますが、軽井沢の場合は30代後半から40代のお客様が多いです。
――意外と若い。
そうですね、軽井沢はいちばん若いと思います。軽井沢という場所柄もありますし、客室単価もたとえば京都と比べたら安いですからね。
軽井沢は首都圏からとても来やすい場所にあって、新幹線で1時間10分ですし、高速道路に乗って2時間、空いていれば車でも都心から2時間半くらいで軽井沢に来られます。交通費がそんなにかからないので、若い方も比較的来やすい場所かなと思います。
観光客数は、たとえば京都の年間5000万人に比べたら軽井沢は800万人弱くらいで少ないのですが、首都圏からのくつろぎといえば軽井沢みたいになっているので、集客のしやすさがあると言えます。
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