ドナルド・トランプ米大統領の国連デビューは世界の耳目を集めた。もともと口の悪いことで定評のあるトランプ氏は、北朝鮮の金正恩労働党委員長を「ロケットマン」と呼び、北朝鮮を「完全破壊」するとまで言った。
これに対して金正恩氏も黙っていない。初めて自ら声明を発し、トランプ氏を「老いぼれの狂人」呼ばわりした。それを受けて同国の李容浩外相は「太平洋上での水爆実験」にまで言及し、国連演説では冒頭からトランプ氏を「神聖な国連を汚した」と非難した。
こうした言葉の応酬に対して、国連本部で記者会見したロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、「まるで幼稚園児のけんか」と表現し、「ほてった頭を冷やせ」と双方に自制を求めた。そのうえで欧州の中立的な立場の国々などが仲介役になり、対話を促すべきだと述べた。
仲介役は金氏の留学先スイスが最適?
このラブロフ外相のメディアに向けて発した「まるで幼稚園児のけんか」発言は、言葉の表層的な意味では、米朝両首脳にとって相当きつい表現だったが、そのメッセージはズバリ「和解への勧告」、少なくとも「和解方向への示唆」と筆者は読んでいる。
トランプ氏と金氏の感情的な言葉の応酬は、いつ何時、軍事的、突発的な衝突も招きかねないものだ。米メディアを筆頭に世界のメディアが大々的に取り上げれば取り上げるほど、その危険性は高まる。「ほてった頭を冷やす」べきは、双方首脳はもちろんだが、メディアもそのらち外ではない。
さらに、「欧州の中立的な立場の国々が仲介役になりうる」というラブロフ外相の指摘は、示唆に富むものだ。それは「和解方向への示唆」であり、同時に米朝軍事衝突を避ける方向で、一条の光明が差したといっていいだろう。
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