ドナルド・トランプ米大統領は、9月19日に行った国連総会演説で、北朝鮮の金正恩労働党委員長を「ロケットマン」と呼び、同国が強行する核・ミサイル開発について、「世界全体に脅威を与えている」と糾弾した。
トランプ大統領が北朝鮮の暴走にどう立ち向かうか、予断を許さない。筆者の見立てでは、すでに北朝鮮は「レッドライン(越えてはいけない一線)」をはるかに越えてしまっている。その意味では、軍事力を行使する可能性もゼロとはいえない状態だ。
それでもトランプ政権が先制攻撃に打って出ないのはなぜなのだろうか。
金融規制緩和派のFRB副議長を起用
トランプ大統領の「炎と怒り」発言は単なる脅しにすぎなかったのか。そうだとすれば、ひところの勢いから、かなり後退しているのではないか。国内政策をめぐって野党の民主党との歩み寄りを見せているのは、トランプ政権の弱体化を示すものではないか――。米メディアの一部には、そんな論調もある。
が、トランプ政権はここへきて弱体化しているどころか、むしろ安定化したと筆者は見ている。その根拠の一つは、ホワイトハウス報道官が「トランプ政権の7年半」というフレーズを使うようになったことだ。それはトランプ再選を当然視しているキーワードだが、それに対して米メディアも目くじらを立てていない。
もう一つの有力な根拠は、FRB(米連邦準備制度理事会)副議長の人選だ。7月10日、トランプ大統領はFRBの銀行監督担当の副議長として、ランダル・クオールズ氏を指名した。
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