北朝鮮が9月3日に強行した核実験は、同国史上最も強力な水爆というのが定説となっている。その実験のわずか5日前に日本の上空を通過する弾道ミサイルを発射したばかり。北朝鮮による挑発はエスカレートする一方である。
その北朝鮮による脅威の高まりと、米国はじめ主要国のいらだちが高まる状況下で、北朝鮮に対する主要国の対応はちぐはぐになっている。圧力強化を主張する日米と、対話を求める韓国や中ロとの足並みはそろわず、むしろその亀裂は深まる懸念さえある。
「中国は北朝鮮に影響力を持っていない」
特に筆者が懸念しているのは、中国に対する米国のいらだちの高まりだ。ここへきてドナルド・トランプ米大統領が、「対中貿易停止」などの強硬手段も辞さずという、いわば「怒りの方向性」を見せているのは、米国のいらだちが高じたものだ。
この米国のいらだちについて、筆者がかねて気になっているのは、中国の王毅外相の発言だ。王氏は「中国は北朝鮮に影響力を持っていない」という趣旨の発言を徹底して繰り返している。その発言は、4月の米中首脳会談の前からだが、その後も欧米メディアに向けて連発している。
トランプ大統領は、北朝鮮による核・ミサイル開発の停止に向けて、強い圧力をかけるよう、中国の習近平国家主席に直談判で迫った。習氏もそれに応じているようだが、一向にその効果が上がらない。ただ、習氏は王氏と同じ政治感覚での発言はしていない。
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