7月4日、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射に成功したと発表した。その日は米国の独立記念日でもある。まさか米本土に届くICBMの開発に成功したことを知らせる合図ではあるまいが、その可能性は時間の問題であり、「核保有国」として早く認めるように米国に催促している格好となった。
それは同時に、米国、中国、日本などが進めている北朝鮮に対する核・ミサイル開発阻止に向けた制裁圧力を無視ないしあざ笑うかのような振る舞いだ。6月末にワシントンで行われた米韓首脳会談は、北朝鮮に対する両国の立場の違いを残したまま、米韓同盟の重要性を確認する程度で終わってしまった。その中途半端さは、おそらく北朝鮮にも見透かされていたであろう。
THAAD配備を先延ばし
まず米韓首脳会談を振り返っておこう。
北朝鮮に対して、ドナルド・トランプ米大統領は、軍事力を含むあらゆるオプションを行使する構えだが、親北派の文在寅韓国大統領は、対話を優先している。北朝鮮による核・ミサイル開発凍結が対話の入り口であり、出口は完全な核・ミサイル放棄であるというのが、文氏の立場だ。
これに対してトランプ氏は、あくまでも中国を含む国際的な制裁圧力によって、北朝鮮に核・ミサイル放棄をさせる。それが入り口であり、出口でもあるという立場。バラク・オバマ前大統領の「戦略的忍耐」という名の無策によって、これ以上、北朝鮮に時間稼ぎはさせないという強硬路線である。
米韓関係の最大の焦点は、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の追加配備だ。文氏はTHAADの本格運用前に1年以上かかる環境影響評価の実施を指示し、事実上、THAAD配備を先延ばしした。
韓国内のTHAAD配備に対する反対運動の拡大を招いたのは、文氏率いる現与党が、朴槿恵前政権のTHAAD配備をめぐる米国との合意見直しを主張したことにほかならない。今回の首脳会談では、なんとか深刻な対立にならぬよう、最大限の関係結束を演出する形になった。
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