4月6~7日、米フロリダ州で行われた、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席の初会談。そこでは、核やミサイルの実験を繰り返す、北朝鮮への対応が主要議題の1つだった。報道によると、トランプ氏は習氏に対し、中国は北朝鮮の対外貿易の約9割を占めており、北朝鮮への圧力を強めるよう要求、中国が協力しない場合、独自に米政府は北朝鮮と取引のある中国企業を制裁の対象に加えることを検討している、と説得を試みた。だが、米側が期待したような返答は、得られなかったという。テレビ中継された夕食会の席で、トランプ氏はいらだちの表情を見せていた。
トランプ新政権は成立早々から、北朝鮮政策の見直しを始めていた。ティラーソン米国務長官はさる3月、東京で岸田文雄外相と会談したときにも、北朝鮮政策を話し合っており、会談後の記者会見では、「北朝鮮に対して非核化を求めた過去20年間の政策は失敗だった」とも言っていた。
米国は、これまでの対応のどこが問題なのか、また今後どのような方針を取るのかも、まだ明確にしていない。一方、中東では、化学兵器を使用したシリアに対してミサイル攻撃を加え、必要なときには断固たる行動を取ることを印象づけた。
すべての選択肢がテーブルの上だが・・・
そのうえ、ティラーソン国務長官は、シリア攻撃には核・ミサイル開発をやめない北朝鮮への警告の意味もあった、と強調した。トランプ大統領はツィッターに「中国がしないなら米国だけで行動する」と、警告とも再度の要請ともとられる、メッセージを書き込んだ。ティラーソン国務長官は、「すべての選択肢がテーブルの上にある」とも言っている。
これらのことから北朝鮮に対する先制攻撃問題がにわかに注目されることになった。ただ、直接の軍事行動は極めて危険で、甚大な被害を引き起こすものである。はたしてそのようなことが現実に起こりうるか、冷静かつ客観的に状況を見つめ直す必要がある。
今後、米国が取りうる選択肢としては、大きくいって3つある。1つ目に中国が影響力を強化して北朝鮮の核開発をやめさせる方法、2つ目に米国が北朝鮮と話し合って解決を図る方法、3つ目に軍事行動で解決する方法だ。同時に複数の方法が選択されることもありえよう。
このうち軍事的方法によるものは、中国による解決も、米朝による直接の話し合いによる解決もできなくなった場合、あるいは試みても失敗してしまった場合であり、いわば最後の手段といえる。
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