日本株はこれからズルズル下がり続けるのか 「プチ円高」から「本格的円高」につながるか
米雇用統計(3月)の結果が出た。非農業部門就業者数は、前月比9万8000人増と市場予想の18万人増を大幅に下回ったが、この数字は「寒波によって建設業などが一時的に影響を受けた要因が大きい」と理解された。また失業率については4.5%と、9年10カ月ぶりの低水準を記録。賃金の伸びも順調で、米国株が大きく売られることはなかった。
強い大統領の「アピール」は「もろ刃の剣」
一方で、米軍のシリア空爆で地政学的リスクが高まり、米国も防衛関連株以外は上値の重い1日だった。米中首脳会談での習近平・中国国家主席との夕食会直後の空爆は、「優柔不断」と言われたオバマ前大統領とは違う「強い大統領」をアピールしたのかもしれない。それについては一定の効果はあったようだ。だが、シリア情勢を深刻化させることにもつながる空爆が新たな不安要素を市場に与えている。しかも、日本では、どちらかといえば遠いシリアより、近い北朝鮮の不透明感が高まっている。
ただ「入国禁止令」は法廷で敗北、「オバマケア代替法案」は見通し立たずで「撤回」と、トランプ政策が「現実の壁」に直面しているように見えても、一方で「三権分立」が正常に機能しているとも言え、それは「先進国アメリカの良きところ」とも言える。
市場関係者は、入国禁止令やオバマケア代替法案をめぐる「一連の失敗」が、必ずしも「市場にとっては致命的ではない」と見ているのかもしれない。いまの米国株をどう評価するかは意見の分かれるところだが、「現実の壁」でトランプ大統領の「過激な部分」が中和され、相対的に良好な政策に変わりつつあることを市場が評価しての、米国株の「高値圏揉み合い」ではないか。
さて、改めて日米欧を俯瞰してみると、利上げに邁進するFRB(米連邦準備制度理事会)や、強い株価(史上最高値のドイツ、昨年来高値更新中のフランス)の影響で金利政策が変わるかも知れないECB(欧州中央銀行)と、「物価上昇率の実績率が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する」日銀との「距離」は開くはずだ。いずれ円安が進むことになると筆者は見る。
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