トランプ大統領は「なーんにもできていない」
先週、かんべえ先生(吉崎達彦・双日総合研究所副所長)が取り上げたトランプ大統領の議会演説(「トランプ大統領は、実は演説に超必死だった」)。非常にかんべえ先生らしい、アイロニックなご意見、さすがです。
世間的にはその後、なんだかこの演説の評判が意外によく、「やるときはやるではないか」「公約を守っている」などと高く評価するようなコメントがたくさん出てきていますね。しかし、私はむしろ、当選直後こそ意外にやるのではないかと評価していましたが、いまや世間一般の皆さんと違って、いよいよ「こりゃダメだ」と、真剣に思い始めています。
まず、彼は大統領令をそれこそ五月雨的に出してきましたが、いまだに実行していることは何ひとつありません。なーんにもできていないのです。
「これからだ」と言う人がいますが、8年前、金融危機真っただ中に登場したオバマ前大統領は、就任後数週間のうちに、実際に手段をいくつも講じて、金融危機をストップしています。ここからアメリカの金融機関は信頼を取り戻し、回復軌道に入り、最終的には金融危機をはるかに超える雇用者を生み出すことになった。もしトランプ大統領だったら、今頃何社も金融機関が潰れてました(詳細は後述)。
それから例の入国禁止令にしても、裁判所に覆され、結局宙に浮いて、混乱だけが残りました。「指定7カ国」からイラクを外すようですが、新しい「画期的」な移民制限案を出すと言いながら、2週間以上放置されてきました。
一方で、すでに不法移民に対する圧力は日増しに増えており、アメリカのメディアでは駐車禁止で捕まった不法移民の5歳の父親を強制送還したとか、教会が保護していた幼い子供のいる両親を逮捕のうえ、自国に送り返したなど、人道上明らかに問題がある、というケースが毎日のように報道されているのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら