ドナルド・トランプ大統領による綱渡り的な政権運営が続いている。米議会の調査員らが、トランプ大統領と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との不可解なつながりに関する調査に力を入れていることもあって、米議会における政治的な取り組みは停滞している。
「何ひとつ重要な法案が議会で可決されることなく、トランプ大統領の最初の1年が終わっても驚きはないだろう」と、ニューヨークタイムズ紙のジョナサン・マーティン記者は今週、メディア会議でこう述べた。
ツイッターでオバマ前大統領を非難
こうした中、3月4日にはトランプ大統領が、バラク・オバマ前大統領をツイッターで攻撃するという「事件」が起きた。トランプ大統領は、オバマ大統領が2016年の米大統領選挙期間中、ニューヨークにあるトランプタワーにおいてトランプ大統領の盗聴を行っていた、と非難。これに関して2回もツイートしたため、ホワイトハウスが議会に対してこの件について調べるよう声明を発表する事態となっている。
ジェームス・クラッパー元国家情報長官は、オバマ政権や法執行機関がトランプ大統領の選挙運動を盗聴していたことを断固否定している。しかし、トランプ大統領は気にする様子がない。なぜなら、このツイートのおかげで、最近明らかになった、ジェフ・セッションズ司法長官によるロシア高官との接触に対する関心をそらすことができるからだ。トランプ大統領は、「はぐらかすことが最高にうまい」と下院少数党院内総務ナンシー・ペロシ氏は指摘する。
実際、ツイッターでも利用してはぐらかさねばならないほど、トランプ政権はたくさんの問題に直面している。
たとえば、中東諸国の人の入国制限をめぐって新たに出された大統領令は、さらなる混乱を巻き起こしている。新たな大統領令は、入国制限の対象からイラクをはずしたが、これに対してニューヨーク市が早速提訴する構えを見せている。1月に出された大統領令をめぐっては、サンフランシスコ市のほか、ワシントン州やニューヨーク州など3州が大統領令は違憲であるとして提訴している。こうした動きが長期化すれば、イスラム諸国で米国の印象がますます悪化するのは避けられない。
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