大統領就任式の現地取材では、トランプ支持者たちがあまりに“普通の人”だったことに筆者は衝撃を受けたが、あれから約2カ月。依然としてアメリカの分断は続いている。トランプ支持者の考えを知ることは、アメリカの今を読み解くカギになるはずである。そんな思いから、再びトランプ支持者を現地取材した。今回の衝撃は、支持者から知らされたトランプ大統領の意外すぎる一面だった。
取材先はハワイ。人種・民族の多様性に富み、オバマ前大統領のゆかりの地だ。近年、家賃の高騰などからホームレスが激増して社会問題となり、1年半前には非常事態宣言も発令された。ハワイは税金や家賃が高いことから「ビジネスがしやすい州ランキング」では、昨年は下から2位にランクされ、経済・ビジネスにおいてストレスを抱える州と言ってもいいだろう。
大統領選では、ハワイは民主党の固い支持基盤に支えられ、得票率62%でヒラリー氏が勝利、トランプ氏の得票率は30%だった。ハワイでは少数派であるトランプ支持者たちはどんな思いで支持し、トランプ氏に期待するものは何なのだろうか。3日間にわたり、6人の支持者の本音に迫った。
「トランプはナイスガイ」
「トランプはものすごいナイスガイなんだ」。ハワイ生まれの日系3世のブライス・トウマさん(45)はしきりにこう強調した。ナイスガイ? トランプ大統領をめぐっては、日本でそれほどいいイメージはないだろう。正直言って私の中にもそんな好印象はなく、耳を疑った。
トウマさんによると「アトランタの空港だったと思うけど、緊急治療が必要な女性が飛行機に乗れずにいるところにトランプの関係者が居合わせて、トランプに連絡したところ、すぐに自家用ジェットを出してその女性を病院に送り届けてあげたんだ」。さらに後日、トランプ氏はその女性と面会し、彼女が3つの仕事を掛け持ちして子どもを育てているシングルマザーであることを知ると、「なにも心配いらないよ」と言って彼女の子どもたちの高校や大学の学費などを全部出してあげたというではないか。
「トランプは自分がこれをした、あれをしたとは絶対に言わない人間だけど、こういった話はたくさん聞く。トランプ大統領は助けを必要とする人たちにはすぐに手を差し伸べるナイスガイなんだ」とトウマさんは言う。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら