ドナルド・トランプ大統領が就任したのは1月20日のこと。いろいろなことが起きたが、まだ就任から1カ月経過したにすぎない。
2月16日に開かれた就任後初の単独記者会見で「この短期間にこれだけの成果を上げた大統領はいなかった」と自らの実績を誇らしげに語り、その一方でメディア報道を「フェイク(偽の)ニュース」と斬って捨て、改めてメディア嫌いの感情をあらわにした。
そんなメディアに対する前代未聞の振る舞いを見聞きするにつけ、トランプ大統領という人物についての理解がますます不可解になってくる。いったいどういう人物なのか。その実像を知りたくなる。メディアでは伝えられていないトランプ大統領の人物像について、メディアとは「水と油」の関係にあるといわれるウォール街の弁護士たちは、どのように見ているのか。
マリアンは連邦控訴審判事として活躍
ウォール街で働く弁護士のコンセンサスとして、トランプ大統領は「家族思い」の人物と理解されている。愛娘のイヴァンカやその娘婿のジャレット・クシュナー氏、息子のバロンらはテレビ映像で何度もお披露目され、その仲の良さはすでに広く知られている。ところが、トランプ一族の1人である実姉のマリアン・トランプ・バリーの存在については意外に知られていない。日本のメディアは、ほとんど取り上げていない。
実はその姉をトランプ氏は家族の1人として愛しているだけでなく、心から尊敬している。姉のほうもトランプ氏を弟として愛しているのはもちろん、その感覚的なところだけでなく、頭脳明晰(めいせき)さを高く評価している。
マリアンは連邦控訴審(高等裁判所)判事としてその道では知る人ぞ知る人物だ。特に麻薬犯罪など刑事事件を手がけ、その高潔さ、正義感の強さには定評がある。トランプ大統領がその姉の影響を強く受けていることは確かだ。激しい競争社会のアメリカで、不動産王として成功してきたプロセスで1度も逮捕されたりしたことがないという事実は、この姉譲りの正義感の強さがあったればこそだと分析できる。
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