日本人が知らないマリアン・トランプの功績

実姉は麻薬犯罪と戦う高潔な判事だった

そのマリアンを連邦控訴審判事に指名したのはビル・クリントン大統領だった。トランプ家とクリントン家の仲が長年よかったのはそれも関係している。彼女は連邦最高裁判所判事になる可能性もあったのだが、最終的にその地位についたのは彼女の同僚のサミュエル・アリート氏。同氏を指名したのはブッシュ大統領だった。

そのとき、極めて高潔な人物であるマリアンは、同僚を心から祝福した。だが、トランプ氏自身にしてみると、ブッシュ・ジュニアに対して個人的にカチンときていることは想像に難くない。

メキシコ経由の麻薬犯罪に対する激しい怒り

トランプ氏にとって、この姉マリアンの存在は大きいようだ。メキシコとの国境に壁を築くとか、NAFTA(北米自由貿易協定)見直しなど、メキシコに対するトランプ大統領の厳しい対応は、姉の麻薬犯罪に立ち向かうスゴ腕判事の厳しい対決姿勢と、トランプ氏の気持ちの中では、重なっている。アメリカへの麻薬流入ルートは、大別するとメキシコ経由とコロンビア経由の2つがあるが、メキシコ経由がコロンビア経由をしのいできている。その流入の勢いはオバマ時代に急増した。

メキシコからの麻薬流入取り締まりによる実際の取り押さえは全体の1%にも満たない。そんな麻薬犯罪組織のやりたい放題という野放図さにトランプ大統領は我慢できない。メキシコからの密入国やNAFTAによるメキシコ優遇は、結局、回り回ってメキシコの麻薬犯罪組織にカネが回ることになっているのではないか。それはメキシコにとってもアメリカにとっても何の得にもならない。両国にとって不名誉なことだ。トランプ大統領のやりようのない怒りが大きいことは想像に難くない。

尊敬する姉マリアンの麻薬裁判に取り組む厳しい姿勢と犯罪組織に対する鋭い対決姿勢は、トランプ大統領のメキシコに対する対応に通底するものがある。その麻薬撲滅に対してクリントン大統領は比較的熱心だった。コロンビア経由の麻薬流入に立ち向かったが、うまくいかなかった。オバマ大統領は銃規制には取り組んだが、麻薬撲滅には手が回らなかった。

このメキシコ経由の麻薬撲滅についてアメリカの政治メディアはほとんど伝えていない。それはなぜだろうか、その理由を3つ挙げるとすれば以下のようになる。(1)メディアはトランプを政治的に嫌っている、(2)メディアを支えているリベラル派はもともと麻薬規制に対して厳しくない、(3)メディアはハリウッドという麻薬に甘い金持ちたちの風土に汚染されている。トランプ大統領がメディアに反感を抱き、徹底的に攻撃するゆえんでもある。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。