アメリカでトランプ大統領がいよいよ誕生しました。
そのこと自体はまあわかっていましたし、彼が当選してからもこれからが大変だな、と覚悟はしていたわけですが、実際に就任演説を聞いてみたら、これは大変というより、むしろ「悲惨」なことになるな、という確信を持ちました。
「空っぽの就任演説」+「わかっていない日本のメディア」
まず、その大統領就任演説ですが内容が何もない。こんな内容がない大統領演説は戦後初めてであります。まさにエンプティー(空っぽ)。一体何をやりたいのか、理念はなんなのかを一言も語ることなく、ひたすら 「アメリカ、ファースト!」を連呼しているだけではありませんか。
この大統領就任演説というのは、これまでは選挙戦で死力を尽くして戦ってきて、それこそアメリカ中が分断され、失礼な言い方や容赦ない攻撃もお互いにしあったが、ここから先は一つのアメリカということで、すべての国民が一つになる、という大事なメッセージが出てくるものです。いうなればすべてを「ノーサイド」にする大事な儀式なのですが、それに対する言及は一切なし。まだ選挙中のつもりなのか、格調もなければ内容もない、びっくりするような代物でした。
また、日本のメディアはこれを一斉に「アメリカ第一主義への転換」と大見出しで報道しました。一体何を考えているんでしょうかね。長年アメリカで仕事をしている私から言わせれば、「じゃあ聞きますけどアメリカが建国以来、アメリカファーストじゃなかった時ってあるんですかね?」となります。「答えてくれよ、いつアメリカ第一主義じゃなかった時があったのか?」と。世界の警察官を名乗っていたのだって、中近東に大きく介入していたのだって、アメリカという国にメリットがあればこそそうしていたのであって(日米安保条約だってそうだ)、別に外国のためにボランティアをしていたわけではない。アメリカのためのベストの選択がそうだった、というだけに過ぎません。
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