つまり、実際にはその時々で「ファースト」にするテーマが変わっているだけであって、アメリカファーストじゃなかった時期なんて一切なかったわけです。しかしメディアはまさに鵜呑みの鵜のようなもんで、一斉にアメリカ第一主義への政策転換だとか書くわけですよね。
TPP(環太平洋経済連携協定)にしても、誰ですか。ついこの前までアメリカの言うなりになってはいけないとか言っていた人たちは!!日本はアメリカから「さっさと合意しろ」と散々プレシャーをかけられていたことをもう忘れたんですか? あれほどアメリカファーストだった政策はないわけで、トランプ大統領はそれをアメリカの製造業という焦点に絞って、その点について方法論を変える、と言っているだけの話であって、製造業以外のインダストリーの人にとっては「全くアメリカファースト」じゃない政策だと言えるでしょう。
ただし、2国間交渉に持ち込めば、アメリカの方がはるかにパワーがあるので、TPPよりもさらに過激な内容で交渉が成立できるかもしれない、と考えているだけに過ぎません。どうしてTPPからの離脱が米国第一主義への転換となるのか、よく頭を冷やして考えてほしいもんです。
「選挙戦での主張」をいまだに信じ続けるメディア
さらにトランプ大統領が言っている、「白人労働者など一般の人々へホワイトハウスからの権力の移行だ」、なんてことをまともに捉えているメディアの神経も疑います。これは確かに選挙戦から言っていた主張で、「Drain the Swamp」(沼の栓を抜け!)とトランプ大統領が声高に叫んでいた政策(と呼べるのかどうかさえ疑問ですが…)の一つです。既存の権力者(エスタブリッシュメント)からワーキングクラス(ブルーカラー)に権力を取り戻す、なんて言っていたわけですから、さながら民主党のサンダース議員の専売特許のようなキャッチフレーズです。
しかし、実際に起きたことはなんですか?
国務長官はレックス・ティラーソン、現役のエクソンモービルのCEO、財務長官はゴールドマン・サックスにもいたハゲタカ投資家としてボロ儲けをしたスティーブン・ムニューチン、さらには教育長官にはベッツィー・デボスを起用。彼女はアムウェイの創業者の息子の嫁ですよ。既存の権力者と成功者ばかりじゃないですか!
これほど言行不一致なことはないわけであって、もうこれだけでトランプ大統領は嘘つきだ、ということになるはずですが、そういう声はメディアからは、ほとんど聞こえませんわね。この政権の一体どこが貧乏な白人労働者に権力を取り戻す、ということになるんでしょうか。
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