トランプ就任演説は「超絶暗い世界観」の塊だ

民主主義という言葉は1度も出てこず

たぶん自身はもっていない「ダークな世界観」がトランプ新大統領を苦しめる可能性もある(写真:Saul Loeb/ロイター)

1月20日に誕生したドナルド・トランプ米国第45代大統領。その就任演説については、事前から関心が高く、筆者も前回の記事で、政治マーケティングの観点からトランプ就任演説の内容を予測した。先行論考で指摘した5つの注目ポイントは実際の演説のなかでどのように登場したのか。

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今回は、トランプが昨年11月9日に行った勝利演説、オバマ前大統領が1月10日に行った退任演説、そのほかこれまでの重要な事実などに基づき、1月20日の就任演説を政治マーケティングの観点から分析したい。

さて、先の記事で挙げた5つの注目ポイントとは以下のものである。

1. 分断された有権者を「一致団結」させる
2. ビッグで人を鼓舞するような「現実的なビジョン」を示す
3. 重要な利害関係者に「メッセージ」を送る
4. 自らが重要視する「価値観」を明確にする
5. 「セルフブランディング」を進化させる

極めて明快な「対立構造」

分断された有権者を「一致団結」させる

前回の記事では、「米国や米国民で誰が利害関係者となり、その利害関係者とどのような対立構造を描くのかが最重要ポイントである」と述べた。選挙戦中は企図して分断をさらに拡大させるような言動を繰り返してきたトランプは、演説の中で一致団結をどのように語ったのか。

実際の就任演説でも、トランプはこのポイントに最も多くの時間を費やした。分断の演説の構成上も、「一致団結」が演説のミッションであるような展開だった。演説全体の中でこのテーマに費やした時間は約3割という分析もなされている。

トランプが演説の中で描いた対立構造は、「ワシントン対国民」、「エスタブリシュメント対国民」などと極めて明快だった。ただし、演説の構造としては、これらの対立構造はすでに「過去のもの」であり、「今ここから」は自分が率いていく米国では問題が解消されていくという主張であった。

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