トランプ政権で米国の景気後退は逆に早まる

金利上昇で住宅への投資が落ち込む懸念

米自動車大手首脳と会うトランプ大統領。米国の株価は好調だが、筆者は「むしろ景気後退に移行する時期が早まった」と分析する(写真:代表撮影/

米国経済が他の主要国や主要地域と比べて好調であるのは、個人消費が経済全体を下支えできているからです。近年、設備投資や輸出の伸びが芳しくないにもかかわらず、個人消費は平均して3%台の増加を続けてきているのです。

なぜ米国の個人消費は伸びているのか?

個人消費が伸びている最大の要因は、原油安をきっかけに物価が下落し、米国民の実質所得が上がってきているためです。2015年の消費者物価の上昇率が0.1%と低迷したばかりか、卸売物価指数にいたってはマイナス0.9%とデフレの状況にあったのです。その結果、2015年の家計所得(物価上昇を考慮に入れた)の中央値は5万6516ドルと5.2%増加し、その増加率は1967年の調査開始以来で最大となったというわけです。

自動車や住宅の販売が消費や景気のバロメーターになっているのは、先進国や新興国では共通していることです。米国では今のところ、自動車市場が2009年を底に、住宅市場も2010年を底にして、拡大基調を継続してきています。とりわけ、2014年の後半以降、米国の家計は大きな買い物、すなわち、自動車と住宅の購入に踏み切れるようになってきています。

自動車産業は製造業の要といわれるように、非常に裾野の広い産業です。グローバル経済下の競争激化により、米国の自動車産業は弱体化したといわれて久しいですが、それでも大手メーカー・部品メーカーを含めた直接間接の雇用者は約700万人にものぼり、全米の雇用者の4.5%を占めているのです。

そのうえ、完成車を構成する部品数は2万点から3万点も必要になります。自動車産業の生産における波及効果は、全産業平均と比べてずば抜けて高く、まさに自動車産業なくして米国はもちろん、日本、欧州、中国などの経済は成り立たない状況にあるのです。要するに、米国のように自動車の売れ行きが良ければ、企業活動や雇用、消費への波及効果も大きいというわけです。

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