トランプ相場の「賞味期限」は1月まで続くか

株価上昇が覆い隠す「波乱の兆し」とは

ヘッジファンドは「トランプ相場」で今までの負けを取り返そうとしている(写真:AP/アフロ)

トランプ次期米国大統領が本当に「できること」と「できないこと」が明らかになってくるのは、来年の1月20日の政権発足以降の話になります。さらには、具体的なことが決まってくるのは、春先になるだろうと考えられます。

今のところ、トランプ次期政権の人事を見ていると、共和党主流派の取り込みに成功しているとはいえない状況にあります。その意味では、米国の長期金利の急騰をもたらす契機となっている「巨額のインフラ投資」と「大型減税」の実現性については、どちらも米議会で満額回答を得るのは極めて難しいだろうと見ています。(そもそも、米国では建設労働者が今でも不足していて、海外から労働者を引っ張ってこなければ、1兆ドル規模のインフラ投資は無理です)。

共和党主流派の基本的な考えを大枠でいえば、主に「親ビジネス」と「財政再建」の2つが挙げられます。トランプ氏は「親ビジネス」の面では共和党とある程度はうまくやっていくことができるかもしれませんが、1兆ドルのインフラ投資はもちろん、大型減税などは「財政再建」の面から懸念が強く、共和党とどの程度のところで妥協点を見出すかが焦点になってくるのではないでしょうか。

ヘッジファンドのシナリオで金利が急騰

ウォール街を中心にヘッジファンドがはやし立てているのは、「巨額のインフラ投資と大型減税が行われれば、FRBはインフレを抑えるために想定より速いペースで利上げに動くだろう」といったシナリオです。このシナリオをもとに、米国の長期金利が急騰し、1カ月で1.7%台から2.5%台まで勢いよく駆け上がってきているのです。

私は2000年以降の市場を見てきましたが、これほど短期間で米国の長期金利が急騰したことはありません。さらには、長期金利の急騰によって、米ドルは主要通貨に対して歴史に残るほどの急激な上昇をしてきています。たとえば、インドのルピーは対ドルで過去の最安値を更新していますし、他のアジア通貨も1997年のアジア通貨危機以来の安値水準まで落ち込んでいるのです。

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