多くのヘッジファンドが今回の大ばくちに見事に成功した形ですが、彼らがいつ反対売買に転換してくるのかを見通すことは不可能です。
それでもわかっていることは、主に2つあります。多くのヘッジファンド投資の運用者が認めているように、1つは、「世界経済に力強さはなく、ドル高でさらに弱まりそう」ということ、もう1つは、「現在の相場が期待だけで上がっていて、政策の実現性が見えないうちの賞味期限付きのものだ」ということです。つまりは、成績低迷に苦しむ多くのファンドが割り切って、「米国債売り」「米国株買い」「ドル買い」「日本株買い」でこれまでの負けを取り返そうとしているわけです。
しかしながら、今回の日本株の上昇を見て、日本の市場関係者の意見は変わりつつあるようです。「どこかで調整があるだろう」という言い回しがよく聞かれるようになってきたからです。そういった言い回しは、上昇相場の継続を前提としており、その結果として「日本株の押し目買いが有効」という意見が大勢を占めるようになってきています。
12月に入ってから、日経平均株価が前場にマイナスになっても後場にプラスに転換するパターンが増えているのは、日銀のETF買いが後場から入っているからと考えられますが(それでも年間6兆円のペースには追い付いていない)、そのために今回の上昇相場に乗れていない国内の日本株運用者たちはかなり焦っているといいます。
「押し目待ちに押し目なし」の状態が続き、指数の上昇に比べると運用成績の悪化が顕著になっているからです。ですから、12月に入ってからはこういった国内の運用者たちが積極的に上値に買いを入れているということです。
「わからないものには手を出さない」が賢明
それでは、相場の環境が変化するのはいつごろなのでしょうか。米国の市場関係者によれば、NYダウ平均株価は史上初の2万ドル台をうかがうなかで、次期政権の誕生前後にいったんは調整するという意見が多く聞かれるということです。「期待で買って、事実で売る」という格言に従えば、確かにそうかもしれません。同じように、日本株についても評論家から「1月20日が相場の天井だ」という声が徐々に強まってきているといいます。
しかしながら、今の上昇相場が明日終わるのか、12月下旬に終わるのか、あるいは1月20日に終わるのか、私にはまったく予想ができません。日経平均株価がボックス圏の上限を突破した時に、想定外の領域に入ったわけですから、こういう読めない相場のときこそ、あえて売買をしないのが賢明です。
読めない相場に手を出すのは、上がるか下がるかのばくちになってしまうからです。現在の市場を大きく動かす起点となっているのは、米国の長期金利の急騰にあるので、思惑だけで動いている長期金利の推移を予想するのは不可能です。
そういった意味では、個人投資家にはノルマ上の制約がなく、時間軸を長めに取って市場に接することができるので、機関投資家よりも有利な状況にあるといえます。バフェットも「自分にわからないものには手を出さない」という方針を貫いています。私のブログにも書いておりますが、その考え方を個人投資家も取り入れるべきだと思います。
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