今年、大リーグ(MLB)で優勝したのはシカゴ・カブスである。なんと108年ぶりの優勝だった。優勝グッズのTシャツを着た若者が、米大統領選の翌日の11月9日、シカゴのトランプタワーの前で反トランプのデモに参加していたのを筆者はみた。
「トランプ相場」の背景にある「レーガン再来」の期待
第2次世界大戦後に始まった東西冷戦後のリベラル化の中で育った大都会のミレニアル(米国で2000年代以降に成人になった世代)。この世代に共通するのは、実は「日本」を理想に感じていることだ。今、彼らには大統領選挙でのトランプ勝利は受け入れがたい現実だ。ただ彼らの親の代(ブーマー世代)までは、アメリカにはソ連という巨大な敵がいた。ブーマー世代も学生運動を起こしたが、国家の目標の前に、個人が自由な発想をある程度我慢するのは普通だった。
今回の大統領選において、総得票ではヒラリーが勝ったといっても、それはニューヨークなどの大都会の感覚だ。合衆国のデモクラシーのあり方を決めた建国の父は、そういう衆愚政治も恐れた。最終的には民主主義とは決して理想ではなく、形態はいろいろあり、そのどれも完璧ではないことを、ミレニアルはこれから学ぶしかない。
その喧騒をよそに、一瞬で衝撃をクリアした株式市場には、今度は過剰なトランプへの期待感が漂っている。テクニカルには、「ボラティリテイプレーヤー」に支配されているということだが、期待の背景には、”トランプはレーガン(第40代大統領、任期1981年1月~1989年1月)になれる“という声がある。
レーガンは偉大なるアメリカの復活を掲げた。トランプがレーガンを真似するのは当然。だがトランプとレーガンでは、能力ではなく、アメリカが置かれている環境が違う。それが前述の今のミレニアルと、今のブーマーがミレニアルだった頃の違いだ。
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