2017年に「トランプ大暴落」は起きるのか 「トランプショック」の本番はこれからだ

✎ 1〜 ✎ 28 ✎ 29 ✎ 30 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

話をトランプに戻すと、トランプは元々共和党だったが2001年に民主党に登録を変えた。再び共和党に戻したのは2009年である。過去第3政党から大統領選出馬に2度挑戦しており、実は、彼にとっては共和党か民主党かはその程度のはなしなのである。

そして、セオドア・ルーズベルトをはじめ、共和党でありながら、民主党的な政策を取った大統領はみな評価が高い。例えば政治家ではなかったアイゼンハワーはイデオロギーにかかわらず、ケインジアン政策で戦後の中間層の構築に貢献した。

いまだに評価が分かれるニクソンも、外交ではソ連や中国と対話をはかり、経済では民主党の財務長官を任命、金本位政策を中断した(注:ニクソンは金本位政策の中断を発表しただけで、本当は廃止を宣言したわけでない)。

さらに、レーガンも元々は民主党だ。大恐慌でフランクリン・ルーズベルトが断行したニューデイール政策に感化され政治活動を始めたが、強烈な反共産主義が彼を共和党に変えさせた。

トランプが「真に勝つ」なら金融市場は荒れる

選挙戦でトランプは強大な4つの敵に打ち勝った。1)ヒラリーを担いだ民主党2)保守派の共和党3)大手メデイア4)エスタブリッシュメント、である。

今の時点で、どうやら1)2)4)はまだ衝撃の中だ。ならば大統領としての最初の課題は、一緒に勝ってしまった共和党とどう向き合うかである。共和党と上手く迎合しながら、オバマ政権とヒラリーがやりのこした「Unfinished Business」、つまり大企業や金融の利益からこの国を取り返すことができるかどうか。それが彼の後世での評価になる。

一方で、その過程で起こるのは金融市場の衝撃だ。金利も上がる。オバマと民主党のエリート(グローバリストや中央銀行関係者)は、金融市場での痛みを嫌った。そのため、社会に生じた痛みによって、結局ヒラリーはトランプに負けた。ならば「真にトランプが勝つ」なら、金融市場は必ず荒れることを覚悟しなければならない。トランプショックの本番はその時だ。今の市場はその準備をしていない。

個人的には、12月のFED(米連邦準備制度)の利上げを見据え、年末から2017年は、1年を通して米国の株式市場は相当な下落になると予想している(個人的には米株の時価総額がGDPの70%程度まで調整すると読む。現在は約120%程度)。

ただし、そこを乗り越えれば、セオドア・ルーズベルトのあと、解体されたスタンダードオイル社の価値が、解体される前とくらべて6倍になった(解体されてできたエクソン、シェブロンなどの合計時価総額)という「新しい時代」も期待できると考える。
 

滝澤 伯文 CME・CBOTストラテジスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たきざわ おさふみ / Osahumi Takizawa

アメリカ・シカゴ在住。1988年日興證券入社後、1993年日興インターナショナルシカゴ、1997年日興インターナショナルNY本社勤務。その後、1999年米国CITIグループNY本社へ転籍。傘下のソロモンスミスバーニーシカゴに転勤。CBOTの会員に復帰。2002年CITI退社後、オコーナー社、FORTIS(現在のABNアムロ)、HFT最大手Knight証券を経て現在はWEDBUSH傘下で、米国の金融市場、ならびに米国の政治動向を日系大手金融機関と大手ヘッジファンドに提供。市場商品での専門は、米国債先物・オプション 米株先物 VIXなど、シカゴの先物市場商品全般。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事