ではこれからトランプはどうするのか。「トランプの最初の100日計画」で掲げた項目はどれもカッコいい。これは3回目のTV討論が終わった後、劣勢といわれた中でトランプがぶち上げた政策である。
例えば、オバマ大統領による大統領令すべての撤廃、中国の為替操作国認定などなど…。南北戦争で劣勢だった北軍が勝利する分岐点になったゲティスバーグの戦いにちなんで、トランプはゲティスバーグでこの100日計画を発表した。結果、南北戦争と同じく逆転に成功したが、今度は、今この計画が、トランプに重くのしかかる。
ただこれらの項目が実現できなくても、トランプは自分を支持した人が、一番何を求めているかを知っているはずだ。その希望さえ裏切らなければ、彼には時間が残される。その意味で、個人的に注目しているのは、聞こえてきた財務長官の人事だ。
金融市場では、JPモルガン会長のジェイミー・ダイモン氏やゴールドマンサックスの元パートナー、スティーブン・ムナチン氏などが候補になっている。一連の噂が金融株の上昇を後押した。だが、もし本当にトランプがダイモン氏のような金融関係者を据えるなら、のっけからトランプは期待を裏切ることになる。
なぜなら、それでは2008年のリーマンショック後に、ショックを起こした張本人の金融を真っ先に救済したオバマ政権とクリントンの取り巻きと同じだからだ。
トランプはセオドア・ルーズベルトを目指すべき
はっきり言うと、トランプはレーガンではなく、歴代の大統領ではセオドア・ルーズベルト(第26代大統領、任期1901年~1909年)を目指すべきだ。偶然だが、前回カブスが優勝した108年前、大統領はセオドア・ルーズベルトだった。
米国ではセオドア・ルーズベルトの人気は高い。サウスダコタ州のラシュモア山国立記念公園には、ワシントン、ジェファーソン、リンカーンと並んで、彼の顔が刻まれている。ただ残念ながら、同じルーズベルトでも、日本人にはフランクリン・ルーズベルト大統領に比べ、セオドア・ルーズベルトはなじみがない(日露戦争の仲介者になったことぐらいだ)。
そこで、セオドア・ルーズベルトのことを少し紹介しよう。一言でいうならセオドア・ルーズベルトは、リンカーン以降、隆盛となった「ギルド型資本主義(独占型の資本主義)」の歴史を終わらせた大統領だ。
彼は、若くしてニューヨークの州知事になり、早くから大統領候補と目されたが、この頃アメリカはGDPでイギリスを抜き、世界最大の経済大国になった(20世紀の初頭、1902年説)。一方で貧富の差は拡大。当時参政権のなかった女性も動き出し、アメリカの政治は激動期に入っていた。
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