日米首脳会談で安倍首相は「罠」にハマった 「マッドマン・セオリー」に騙される日本

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会談後の共同会見での両首脳(写真:ロイター/Joshua Roberts)

ドナルド・トランプ米大統領は型破りで突飛なことをする。予測不可能で衝動的なので、日本をはじめ、世界は注意しなくてはいけない――。もし、あなたがこう信じているならば、すでにトランプ大統領に騙されているかもしれない。

「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領は、これまでに通商問題や為替政策、在日米軍の駐留経費問題でさんざんと日本を批判してきた。しかし、2月10日の日米首脳会談後の記者会見では「われわれは自由で公平、両国にとって利益をもたらす貿易関係を目指す」「日本は重要な同盟国であり、日米同盟は平和と繁栄の礎だ」と日本を持ち上げた。

ニクソン元大統領の「マッドマン・セオリー」を実践

「狂気」を装いながら、結果的に極めて合理的に振舞っている。駆け引きの一環として、常軌を逸した過激な言動を意図的に繰り返し、交渉相手国に要求や条件を吞ませることに成功している。日本のメディアではあまり報じられていないが、これは、トランプ大統領が尊敬するニクソン元大統領の「マッドマン・セオリー」(狂人理論)を実践しているにすぎない。

安倍晋三首相はそんなトランプ大統領の「狂気な演技」に、外国首脳の中で、いの一番に騙されてしまったかもしれない。安倍首相はトランプ氏の大統領選挙当選後には、極めて異例となる大統領就任前の直接会談をニューヨークで急ぎ足に敢行。さらに、今回の日米首脳会談前には、米国で4500億ドル(約51兆円)規模の市場と70万人の雇用創出を目指す超巨大プロジェクトを矢継ぎ早にとりまとめた。

51兆円と言えば、日本のGDPのほぼ10分の1、日本の防衛費の約10倍にあたる相当な額だ。この投資の原資の一部としては、私たち日本人の老後の蓄えとなる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の積立金をあてる案も検討されている。米国ではなく、需要不足で低成長にあえぐ日本の地でこそ必要な施策ではないかと思えるほどだ。

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