日米同盟の結束の堅さをアピールできるのか。昨年11月にドナルド・トランプ大統領が当選した直後、安倍晋三首相がトランプタワーを「電撃訪問」してから約3カ月、今回は大統領就任後初の公式な日米首脳会談となる。2人はまず首都ワシントンで会談し、その後、大統領専用機でフロリダ州パームビーチにあるトランプ大統領の別荘に向かい、11日にはゴルフをプレーする予定だ。
すでに双方は、日米同盟の強みを改めてアピールすることで合意しており、日米関係悪化の要因となりかねない、トランプ大統領の「米国第一主義」に関する話は、少なくとも今回は出てくる可能性は低い。
「パーソナルな関係」を築く旅
これには日本側も安堵しているが、日米貿易摩擦があった1980年代に形成されたトランプ大統領の日本に対する基本的な考え方については警戒感をもっており、リラックスしたゴルフ会談のさなか、この話題が出る可能性を少なからず懸念している。もう1つ、日本側の関係者が危惧しているのが、自身の外交手腕に自信をもっており、今回トランプ大統領と「パーソナルな関係」を築こうとしている安倍首相が、誤ったアプローチでトランプ大統領を興奮させないかということである。
先ごろ開かれたオーストラリアのマルコム・ターンブル首相との電話会談でトランプ大統領が、突如「キレた」ことを考えれば、現実的にない話ではない。
もっとも、首脳会談に関与している日米関係者の話をまとめると、今回は比較的前向きな会談となりそうだ。これは、米国政府関係者が言うところの「マティス効果」にほかならない。
マティスとは、2月3日来日したジェームズ・マティス国防長官のことだが、同氏はトランプ政権のほかの主要閣僚と違ってトランプ大統領と一定の距離感を保っていることで知られる。選挙戦中にトランプ大統領の応援をしたこともなければ、今回指名前に行われた面接もわずか40分で終わった。トランプ閣僚のなかでは「親トランプ度」は低いといえるが、それでもトランプ大統領は、マティス国防長官の「狂犬」という異名を気に入り、外交政策や安全保障政策については、同長官の経験や知識を参考にする考えのようだ。
マティス国防長官も、自身の立場や任務を認識しており、ホワイトハウスの「強硬派」が吠えないうちに日本を訪れ、日米同盟のあり方や、これに対する米国の基本的なスタンスを再確認することを急いだ。先日、マティス国防長官の来日時にも書いた(トランプ閣僚が「日韓訪問」を最優先した理由)が、日本と韓国を国防長官として初の訪問地に選んだ理由は、早ければ2月中にも北朝鮮による軍事的な挑発行為が起こりかねない、という米政府の強い懸念があったからだ。こうしたなか、マティス国防長官は日韓訪問で改めて、東アジア地域における平和と安定に米国として関与することを再確認している。
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