トランプ政権は、過去の多くの政権と同様、劇的なスタートを切ったが、北朝鮮問題など最重要課題への取り組みはこれからだ。北朝鮮最高指導者の金正恩(キムジョンウン)氏は「新年の辞」で、核弾頭が搭載可能な大陸間弾道ミサイルを発射する実験の準備が最終段階に入ったと表明した。
大統領就任前だったトランプ氏はその時点で、「そうはならない」とツイッターで反発した。北朝鮮の政府がこの言葉をどう解釈したかは想像するしかない。トランプ氏が恫喝しようとしたのか、あるいは何らかの自信があったのかは不明だ。
1980年代以降、米国外交にとって北朝鮮は頭痛の種であり続けてきた。しかし今回の脅威は現実的なものだ。大量破壊兵器によって米国本土が攻撃可能となるのである。
核兵器やミサイルの実験に当たり、北朝鮮政府はトランプ氏がどんな人物かは意に介していないようだ。そして過去の失敗を隠すことなく兵器開発を前進させている。
選択肢は限られている
北朝鮮の核兵器開発の真の狙いが何なのかについては、さまざまな見方がある。現体制の存続や世界的な地位の確立、自国の自衛強化などだ。だが、そうした点はさほど重要ではない。
この問題を解決するために取れる選択肢は限られている。
トランプ氏が選挙期間中に示唆していたように、無視したり中国任せにすることではない。中国との連携強化を軸に米国があらゆる努力をする以外、有効な戦略は考えられないのだ。
だが、その中国が南シナ海の領有権問題に関して強硬姿勢を続けている。米国にとってこれは、同地域の安全保障面で頭の痛い点だ。
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