トランプ政権で米国の景気後退は逆に早まる 金利上昇で住宅への投資が落ち込む懸念

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米国で歴史的な低金利が続くかぎりは、投資家は住宅への旺盛な投資はあと1年くらい続くことも考えられます。

しかし、大都市部を中心として住宅価格にかなり割高感がある現状では、長い下降トレンドを辿ってきた長期金利が上昇トレンドへ反転するようなことになれば、金利に非常に敏感な住宅市場は縮小していくことが予測されます。要するに、これからの住宅市場の趨勢は、金利動向および投資家が握っているというわけです。

その意味では、2016年11月の米大統領選にトランプ氏が勝利して以降、もっとも注意すべき現象が市場では起こっています。米国の長期金利は1.7%台から一時2.6%台まで急騰し、現在は2.4%前後で推移しているのです。長期金利が急騰した影響は、すでに中古住宅販売件数にも出始めているように考えられます。2016年12月の中古住宅販売件数は年間換算で549万戸となり、前月比で2.8%の減少、4カ月ぶりのマイナスとなっているからです。

2017年にも景気後退が始まる懸念がある

2016年までの私は、米国は2018年までには景気後退に陥るだろうと予測していましたが、トランプ政権が誕生した今となっては、2017年のうちにも景気後退が始まるのではないかと懸念を抱いています。なぜなら、自動車市場が需給の逆転で縮小に向かう見通しにあるというのに、住宅市場までもが長期金利の上昇によって伸びが止まる可能性が高まってきているからです。

仮にトランプ政権が掲げる大規模なインフラ投資(1兆ドル規模)を実行できたとしても、成長率の押し上げ効果は0.5%程度であるといわれています。その副作用として金利が上がり住宅市場や消費が失速してしまえば、押し上げ効果は簡単に打ち消されてしまいます。

「トランプ政権で景気が拡大する」とウォール街は騒いでいますが、実はそうではないということを私たちは認識しておく必要があるのです。

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