ぐっちーさん「トランプ大統領は全くダメだ」 世間は評価しているが「何もできていない」

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まず、選挙期間中に約束した経済を活性化する公共投資を骨子とした米国再生・再投資法を議会にかけ、早くも2009年2月17日に通します。7872億ドルの公共投資を盛り込んだ法律(!!)を上院で野党共和党のフィリバスター(議事妨害)を防ぐのに必要な60議席に満たない、という不利な情勢をはね返し、これを通しているのです(トランプ大統領は上下院とも過半数を持っていますが……)。

次に、崩れんとするばかりの金融市場に対し、ローレンス・サマーズ国家経済会議委員長とティモシー・ガイトナー財務長官の「仕事師」ラインを指名、金融安定化策が、やはり同2月10日に発表されます。内容は、(1)大手行に対する厳格な資産査定と追加資本注入、(2)官民による最大1兆ドルの不良債権買い取りファンドの創設が柱で、特に(2)については早くも同3月23日には政府出資と連邦預金保険公社の融資保証が組み合わされるとの内容の詳細プログラムが公表され、事実上、これによって究極の米国売りを水際で回避したわけです。あのとき、トランプ大統領のような人が大統領でなくて、本当によかったと思いますよ。

トランプ大統領は時間を無駄にしているだけ

なお、いろいろと言われるオバマケアですが、これについてはやはり、同2月4日、児童健康保険プログラム拡充法案に署名しています。低所得者層向けの政府健康保険制度(メディケイド)のボーダーラインがあまりにも低く、食うに困っているのに、これにはひっかからない貧困層や米国籍未取得者においては無保険となる児童が多数発生することが大きな社会問題となっており、この法案は、このカバー範囲を拡大するもので、何と同3月5日には医療制度改革諮問会議が開催され、素早くワーキングチームを立ち上げているのです。

外交についても同様です。

外交がダメ、とさんざんコケにされたオバマ大統領ですが、公約どおり対ロ融和政策を実現すべく、同2月7日には、バイデン副大統領がミュンヘンで演説し、対ロ融和姿勢を表明、さらには3月6日にはクリントン国務長官がロシアのラブロフ外相と会談し、新たな核軍縮条約の年内合意を目指すことが決まったのです。

改めて皆様に問いましょう。トランプ大統領はオバマ大統領と同じ期間をすでに費やしながら、いったい何をやったというのでしょうか。上下院で数を握っているにもかかわらず、法案の1本も、あれだけ廃止するといったオバマケアの代案すらろくに示せず、時間を無駄にしているだけ、というのが厳然たる事実です(報道によりますと、6日共和党から法案の骨子が出てきたようですが、これから与野党で議論するわけですから、どれだけ時間がかかるんでしょうかね……)。

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