ドナルド・トランプ米大統領の長女イヴァンカ氏の家族が中国政府に招待されたと報じられたのは、今年6月だった。北朝鮮情勢が緊迫化するなかで実現するかどうかはまったく未定だが、一部報道では9月中に決まったという。一説には、イヴァンカ夫妻のほか、中国語を勉強している6歳の長女アラベラも同行するという。
この中国政府によるイヴァンカ家招待には、習近平国家主席の並々ならぬ調査能力と外交手腕が見て取れる。
知米派・習近平氏の周到なトランプ調査
今年10月18日に開催が決まった中国共産党大会を控え、習主席は、2022年以降の長期政権に向けて着々と手を打っている。7月中旬、重慶市トップの孫政才氏の後任に、習主席腹心の陳敏爾氏を据えたのは、その体制固めの一環である。中国政権の王道である内政を固めるためには、対米外交の成功も欠かせない。
イヴァンカ氏は、トランプ氏に最も強い影響力をもつとされる。そのイヴァンカ氏との親密ぶりを演出することは、対米外交の勝利を国内外にアピールすることになる。イヴァンカ氏に気に入られ、トランプ氏との親密さを内外に見せつけてきた安倍晋三首相も、安閑としてはいられない。
見逃せないのは、習主席は歴代の中国トップとは違い、知米派の国際人でもあることだ。2022年以降の自らの政権維持とともに、2020年の「トランプ再選」を見越して、トランプ大統領の物の見方、考え方を綿密に調査し、対米外交戦略を練っている可能性がある。
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