ドナルド・トランプ米大統領の北朝鮮に対する強硬姿勢は、中国の習近平国家主席にきわめて効果的な形で伝わったようだ。
トランプ・習両氏の”出会い”は2度連続して行われた。1度目は4月6〜7日に米国のフロリダ州パームビーチで行われた米中首脳会談。2度目は11日夜(米国時間)の電話会談だ。
11日の電話会談で習主席はトランプ大統領に念を押すように「平和的解決」を求め、トランプ大統領も「よい電話だった」と応じた。この2回の会見を通じ、トランプ大統領は対北朝鮮強硬策への暗黙の了解を取り付けたと思われる。
習主席の表情が一変したワケ
驚くべきは、パームビーチでの首脳会談の最中、トランプ大統領はシリアの空軍基地へのミサイル攻撃を命じたことだ。それは中国にとって予想外の出来事だった。同時に、中国側には強烈なメッセージとなった。
これまで米国は中国に対して、北朝鮮の核開発阻止に向けて圧力を強めるように求めていた。今回、米国が中国に発したメッセージは、もし中国が米国の求めにまともに応じないなら、米国はシリア同様、単独での北朝鮮攻撃も辞さないぞ、という強烈な意思表示だった。
習主席は、シリア攻撃に対して理解を示したと報じられている。実は、トランプ大統領から一連の説明を直接聞いたあと、習主席の表情は一変している。米メディアは習主席の表情の変化に気づかなかったようだが、筆者が長く働いているウォール街の面々はその変わりようを見逃さない。交渉相手の表情の変化を読み取ることに長けていなければ、ウォール街では生きていけないのだ。
その表情は容易ならざる驚愕の表情に変わったのである。習主席にしてみれば、中国側はトランプ大統領についてはその人となりを徹底的に調べ上げ、そのうえでフロリダの首脳会談に臨んだつもりだった。ところが、直接会ってみると、トランプ大統領の「超ワンマン」ぶりは想定外だった。
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