習近平がイヴァンカ夫妻招待に熱心な理由 対米外交勝利を演出して内政固めか

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習主席が知米派の国際人である証拠は、1985年に河北省の役人として、米国の姉妹州であるアイオワ州に研修で滞在し、そのとき米国人宅にホームステイしたことだ。習氏は副主席時代の2012年に、そのホームステイ先を再訪し、旧交を温めた。

実は、そんな習氏とアイオワ州との因縁を承知のうえで、トランプ大統領は習氏と「30年来の旧友」であるアイオワ州知事を、北京駐在の米国大使に任命している。トランプ大統領以前の歴代大統領は、北京駐在の米国大使には、大統領と直結した国務省の超エリートを赴任させていた。米大統領と直接会談せずとも、北京の米国大使を呼べば、事が済んだ。

トランプ大統領の場合は、まったくそうはいかない。習氏との旧友が大使になったとはいえ、その大使がトランプ大統領とツーカーというわけにはいかない。習氏はそのことを思い知ったに違いない。トランプ氏とは「直談判しかない」と。

トランプ氏が大統領になると決まった昨年11月初め以降、習氏はトランプ氏の物の見方、考え方について、周到な調査に乗り出したと思われる。その成果は4月の米中トップ会談でも生かされた。

「ハリウッド爆買いをやめよ」という指令

その周到な調査による判断結果と思われる動きとして、中国の不動産大手、大連万達集団(ワンダグループ)の王健林董事長に対して、習氏がはっきり距離を置くようになったという事実がある。

ワンダグループは、米国ハリウッドの映画館チェーンや制作会社を次々に買収し、その一方で、中国の青島に巨大映画プロジェクトを立ち上げ、そこを「東のハリウッド」にするという野心を抱いていた。

そのワンダグループによるハリウッド買収の勢いは華々しく、昨年末ぐらいまでその勢いは数年続いた。王健林氏にとっては、習主席との関係が近いことが、ハリウッドでの派手なM&Aのテコになっていた。だが、今年1~3月から、その勢いはパッタリ途絶えた。

この7月には、ホテルとテーマパークの大半を売却すると発表した。売却額は約1兆円に上る。その全額を借入金返済に充てるという。6月に中国当局がエンターテインメント業界へのカネの流れを抑えるように、大手銀行に通達を出したからだ。

端的に言って「ハリウッド爆買いをやめよ」と指令したのだ。そのターゲットがワンダグループだった。このワンダグループなど中国資本による「ハリウッド爆買い」については、米国内で賛否両論があった。

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