ハリウッド地元は、これまで巨額の中国資本を無条件に歓迎していたが、つい最近、大統領主席戦略官・上級顧問を更迭されたスティーブン・バノン氏は、中国資本の大々的な上陸に対して長年批判的だった。同氏は、中国という覇権国家自体の膨張拡大主義に対して、極めて批判的かつ警戒心が強かった。
バノン氏は、トランプ大統領に対しても、しきりに「反中国主義」を吹き込んでいた。トランプ氏もそれに乗っていた。中国を「為替操作国」に指定するとすごんでいた時期もあった。それはトランプ氏がバラク・オバマ前大統領から、北朝鮮問題の真相を引き継ぐ前だった。真相を知ったトランプ氏は直ちに判断を変えたと考えられる。
しかし、トランプ氏はトランプ氏である。大統領になって半年の経験を経て、独自の対中戦略を進めつつある。貿易不均衡をめぐる301条問題は消えるどころか、具体的に動き出している。しかも、バノン氏更迭のあとになってからも、である。
スキャンダルの嵐を断固として避ける
トランプ大統領を調査・分析して、習氏が警戒感を強めたのは、ハリウッドにおける人種差別主義もその一つだ。端的に言って、その強烈な白人至上主義である。
ハリウッドには、保守もリベラルも超越した白人至上主義が存在する。メディアの中にもそれは根強い。アカデミー賞など映画イベントの赤じゅうたんには、白人の美男美女たちであふれかえる。黒人やインド出身のスターもたまに見掛けるが、アジア系はほとんどいない。
かつて戦前に米国では、排日運動が激しく、多くの日系米国人が強制収容所に入れられた。当時敵国だったドイツ系やイタリア系の米国人たちも収容されたが、戦争が終わるまで収容されたのは、日系米国人だけだった。それは人種差別の結果である。そのことについて、米国が日本に正式に謝罪したのは、超保守派のロナルド・レーガン元大統領のときだった。
ともかく、そのひどい人種差別の収容所があったところが、ハリウッドのあるカリフォルニア州だ。お人好しの日本人は強制収容所のことを忘れがちだが、ハリウッドはいまだに白人至上主義の人種差別主義者が多いところなのである。
筆者は米国東部のウォール街で成功したが、渡米した当初は、筆者が学んだ3つのロースクールの最初に西部のUCLAで学び卒業した。一生、カリフォルニアに関与してもいいとさえ思った。なぜ、考えを変えて東部のニューヨークへ移ったのか。
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