現時点で米国と北朝鮮が交渉しても無意味だ 米ブルッキングス研ポラック氏に聞く<下>

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建国記念日にICBMの発射はあるのか(写真:ロイター)
9月9日は北朝鮮の建国記念日にあたり、日本や米国、韓国は北朝鮮がこの日に新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射する可能性を懸念している。「暴徒化」する北朝鮮とは、今後どう付き合っていくべきなのか。米シンクタンク、ブルッキングス研究所の中国センター長、ジョナサン・ポラック氏に聞いた。前編はこちら

 

――なぜ北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に、これほど力を入れているのでしょうか。

多くの米国人が北朝鮮の意図を深読みしようとしている。だが、私には北朝鮮政府は、こう言っているように思える。「われわれには今、米国が決して北朝鮮を攻撃しないことを保証する手段がある。というのは、われわれは米国を攻撃できるからだ」と。

冷戦時代には、同じ問題が米国と北大西洋条約機構(NATO)加盟国の間で定期的に起こった。ソ連の西欧への侵攻に直面して、米国はソ連による米国への攻撃という危険を承知でNATO加盟国を擁護しただろうか? 米政府は、NATO加盟国をつねに安心させ、ソ連政府に、米国がソ連による侵攻に対して実際に介入するだろうと警告しなければならなかった。

抑止力は今も機能している

同じことが北朝鮮にも当てはまる。米国は、拡大抑止政策――韓国や日本に対する攻撃が米国に対する攻撃のように扱われる――がまだ実施されているということで、韓国と日本をつねに安心させなければならない。これは米国の大真面目な約束である。北朝鮮はこれを理解しなければならない。

米国の核の傘の耐久性(拡大抑止)への疑問は、韓国と日本の独自の核兵器開発を促す可能性がある。あるいは韓国の場合、戦術、戦場核兵器を韓国に増強するよう米国に圧力をかけるかもしれない。

すべての議論は抑止力の話に戻る。私は繰り返し伝えているように、抑止力はまだ有効であると信じている。抑止力を維持し、韓国と日本の核兵器開発を予防するためには、米国のこの問題に対するコミットメントを継続的に強化しなければならない。

――ジェームズ・マティス国防長官とレックス・ティラーソン国務長官は、外交の扉をオープンにしています。米国がとれる外交手段は?

北朝鮮当局との接触や話し合いとしての外交と、具体的な問題や目標に関する実際の交渉を区別したほうがいい。米国の政策筋でさえ、北朝鮮との接触に反対していない。敵の指導者との対話の道を持つことは有益である。

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