現時点で米国と北朝鮮が交渉しても無意味だ

米ブルッキングス研ポラック氏に聞く<下>

また、米政府は主に核不拡散にかかわっている専門家と、地域問題や、日本や韓国といった同盟国との関係をどうするにかかわる専門家をきちんと分けることもしていない。

米政府内で、北朝鮮政策がどこに向かうべきかについて合意していれば、そして交渉がその政策目標につながるかもしれないと確信する理由があれば、交渉は米国にとっても、同盟国にとっても有益なものになるだろう。しかし、米国はまだ交渉をできるところに立っていない。

――米国は今後どう対応したらいいのか。

第3の政策オプション、すなわち、強化された抑止と封じ込めがある。

対ソ連の「封じ込め政策」の生みの親、ジョージ・ケナン氏は、抑止がすぐに結果をもたらすとは約束しなかった。そしてケナン氏は、軍事的な封じ込めも支持した。彼の前提のすべては、ソ連の体制に根本的な構造矛盾があるという考えに基づき、抑止は長期的なプロジェクトである、ということだった。

北朝鮮にとって本当の脅威とは?

北朝鮮にも同じことが言えるだろう。最終的には、北朝鮮の体制は維持できなくなる。バラク・オバマ前大統領はそう信じていたし、北朝鮮が今のままであり続けることは難しい。これは、政策の基盤となる重要な分析ポイントである。ただし、北朝鮮の体制は驚異的なほど続いている。世界から疎外された体制ではあるが、だからといって不安定な要素や兆候は見られない。

封じ込めは、遅かれ早かれ政権が崩壊するという仮定に基づいているが、いつ、どこで、どのように、といったことを確実に予測することは不可能だ。

もっとも、米軍は金政権にとって真の脅威ではない。北朝鮮にとっての本当の脅威は、国外からのアイデアや情報、北朝鮮国内における他国のプレゼンスである。私が知るかぎりでは、過去60年間、北朝鮮で意味のある存在感を示す国はなかった。

韓国の新政権は、北朝鮮と経済分野などでの接触を拡大したいと考えている。これは、北朝鮮に韓国の存在感が増すことを意味する。が、韓国の存在感が増すことによって国内が不安定な状態になることが見込まれるため、北朝鮮政府は韓国政府との接触を増やしたいとは考えないだろう。

特別なことが起こらないかぎり、金政権はしばらく生き永らえるだろう。国連により科せられた制裁、特に石油禁輸の可能性は、政権を痛めつけるだろうが、おそらく核とミサイルの開発計画を止めるには不十分だ。

一方、封じ込めは長期的な課題だ。だが、問題はトランプ大統領がその道を模索できるような忍耐力を持っているかどうかだ。抑止と封じ込めは、米国が65年間朝鮮半島に対してしてきたことである。この間、朝鮮半島で戦争は起こらず、1人当たりGDPが100ドルだった韓国は、世界第11位の経済大国に成長した。これは悪い記録ではない。

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