光明が差した?米朝の軍事衝突を避ける道 朝鮮半島非核化に向けた役割分担とは?

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仲介役としては、これまで休戦会談や和平会議の場を何度も提供してきたスウェーデンやノルウェーなど北欧諸国が候補に挙げられよう。また、国連安保理事国以外の国では、たとえば「P5(ピーファイブ)+1(プラスワン)」の「1」とされるドイツが仲介役を買って出てもおかしくない。

仲介役として最もふさわしい国の一つは、スイスでもありうる。スイスは文字どおりの中立国であり、ジュネーブなどで、国際的な和平会談や平和会議の場をしばしば提供している。そればかりではなく、何よりも金正恩氏の留学先でもあったことだ。

今回のラブロフ外相の発言は、筆者にとって交渉論理上、「待ってました!」と言っていいタイミングだった。いささか我田引水になるが、今年5月20日付の本欄「トランプ大統領に『一発逆転戦略』はあるのか」で、筆者はこう指摘した。

当時、トランプ大統領は「ロシアゲート」疑惑真っただ中にあった。その渦中でトランプ大統領に「ウルトラC戦略」があるとすれば、それは「ロシアの仲介で北朝鮮とトップ会談を行うことではないか」と予言した。今回のラブロフ外相発言によって、その予言が的中ないし、その寸前のところまできた感がする。

中国との交渉は大統領自らが仕切る

トランプ大統領も暴言ばかり発しているわけではない。米メディアの見方は、トランプ大統領の動静を面白く伝えさえすればいいとばかりに、しばしば一面的だ。北朝鮮問題はトランプ政権にとって最大の課題であり、その打開に向けて、口も出し、手も打っている。

トランプ大統領による今回の国連デビュー演説と、その直後に発した「大統領令」は、特に注目に値する。それには、トランプ氏がビジネスの世界で鍛え上げた独特の交渉力、もっと言えば、交渉の芸術家としての力量が試されている。

1つは、北朝鮮問題のカギを握る中国との交渉を自分の手に引き寄せたことだ。それはどういうことか。従来、中国との交渉は北京駐在の米国大使と優秀なナンバーツー(国務省から出向の官僚)に任されていた。あたかも北京に米国務省だけでなく、米大統領までいるかのように、米中双方にとって納得のいく交渉がなされ、安定した関係が築かれてきた。

次ページその証拠として…
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