中国はなぜ北朝鮮の暴走を止められないのか 「世界史」から考える、北ミサイル問題

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朝鮮人に根付いた事大主義は、今まで半島の独立を保ってきたが…(撮影:福田恵介)
2017年9月3日、北朝鮮が6回目の核実験を実施した可能性が指摘されています。アメリカ本土まで届くICBMの開発とともに、弾頭に搭載する核爆弾の小型化が進んでいると強調することで、軍事的な挑発を続ける北朝鮮に対し、関係国はなすすべがありません。中国は、「北朝鮮問題の平和的解決を望む」ときれいごとを言うばかり。
「なぜ北朝鮮は、核開発・ミサイル開発をやめないのか」。国際ニュースの疑問に、シリーズ10万部突破の最新刊、『ニュースの"なぜ?"は世界史に学べ 2』を上梓した人気予備校講師・茂木誠氏が世界史の視点から答えます。

北朝鮮は、なぜ中国の言いなりにならないのか?

「中国は、北朝鮮の暴動を止められるのか」、世界の注目を浴びています。現在進行中の北朝鮮のニュースを読み解くには、まず中国と北朝鮮の歴史的な関係を押さえておく必要があるでしょう。

まずは中国大陸の全体像を俯瞰(ふかん)してみましょう。

歴史的にいえば、いわゆる「中国人」(漢民族)とは、万里の長城より南に住んでいた人たちのことを指します。万里の長城より北側には、もともと満州人とモンゴル人がいて、朝鮮半島には朝鮮人が住んでいました。満州人とモンゴル人と朝鮮人。同じ北方アジア系の民族で、使用している言葉も似ています。朝鮮人は中国人とは民族が異なり、言葉も通じません。

17世紀になると、満州人が建国した清朝がモンゴルをのみ込み、ついには万里の長城を突破し、中国を統一しました。ですから、清朝の皇帝とは中国人ではなく、満州人です。清は広大な版図を誇り、チベットを保護領にするなどして、今日の中国領土の原形をつくりあげました。

1912年には、孫文による辛亥革命を経て、中華民国が成立、清朝による支配に終止符が打たれました。中華民国は漢民族、すなわち中国人による政権です。中華民国が成立すると、今度は万里の長城を越えて、モンゴルや満州に侵攻。「元・清朝の領土は中華民国のものだ」という理屈のもと、チベットやウイグルに対する領有権の主張が始まりました。

そして、第2次世界大戦後、1949年に現在の中華人民共和国が成立。満州とモンゴルの南側(内モンゴル)、チベットを押さえ込みます。ただ、北の外モンゴルを領土とすることはできませんでした。

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