北朝鮮は米国の先制攻撃を本気で恐れている TKO木本が外交のプロに直撃!

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金第1書記はいったい何を恐れているのだろうか。2月撮影(2016年 ロイター/KCNA )
わたくし、TKO木本武宏がTKO(東洋経済オンライン)で、複雑な現代の世の中について学ぶ対談です。第3タームでは、何ともわかりにくい、東アジアの現在と未来について、外交官出身の論客、美根慶樹さんにお話をうかがいました。1回目は何とも不可解な国「北朝鮮」を巡る状況についてです。歴史を振り返りつつ、どこにポイントがあるかわかりやすく解説していただいて、またまたかしこになれましたよ~。

北朝鮮はなぜわかりにくいのか?

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木本:北朝鮮という国が、年明け以降、何度もニュースに登場しています。今ではお騒がせ国家というイメージですが、学校では、最初の指導者である金日成はマルクス主義に傾倒し、主義主張のはっきりした指導者ということで習った覚えがあります。

でも孫の世代になった金正恩の北朝鮮はおかしな国ですよね。まず、国民のためにある国なのか、金家のための国家なのか、そこがわからない。まずはそこから教えていただけますか。

美根:そこは最大の問題の一つです。北朝鮮は一言でいうと、わかりにくい国。「国の基本」のところで、我々日本人の考え方とえらく違います。

木本:といいますと?

美根:あの国は特殊な状況にあります。日本との国交もなく、閉鎖的な体制で、何が起こっているのかがわからない。

それでも分かることはあります。まず大前提として、日本との最大の違いはなにか。日本人のほとんどが日本という国が無くなるとは思っていないですよね? おそらくそう思っている国民は0.1%もいないでしょう。ところが北朝鮮では、朝鮮民主主義人民共和国という国が無くなるかもしれないという心配が常にあるのです。

木本:その心配をしているのは国民でしょうか。それとも指導者でしょうか。

美根:指導者です。国民は、無くなってもいいと考えているかもしれませんね。これは私の想像ですが、本心では、韓国のようになってもいいと思っている人が多いはずです。ただ、指導者たち、つまり指導体制、官僚、軍部という「統治」の側にいる人たちは恐れている。朝鮮民主主義人民共和国という体制が崩壊したら、おまんま食い上げどころか、今までやってきたひどいことをぜんぶ暴かれて粛清されてしまうかもしれないわけです。そんな心配をずっとしている。これは、日本人にはなかなか理解しにくい。

木本:指導者のテーマが「自分たちの生存」ということになっているんですね。

次ページ70年頃まで、金日成は盤石ではなかった
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