中国はなぜ北朝鮮の暴走を止められないのか 「世界史」から考える、北ミサイル問題

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日米戦争の末期になると、日本軍に志願して入隊した朝鮮の若者も続出しました。神風特攻隊に志願し、米軍の空母に突っ込んだ若者もいます。朴槿恵前大統領の父である朴正煕元大統領も、日本軍に志願した1人。「日本軍に志願します」と血書を送ってきた朝鮮の若者として当時の新聞記事に載っています。

少し話がそれましたが、近代に入ると朝鮮はロシアと日本と友好関係を結び、戦後はアメリカやソ連の支援を受けて、中国の脅威に対抗してきました。朝鮮半島は地政学的にも大国に囲まれた小さな国ですから、必ず強い国と手を組み、生き延びてきたのです。

アメリカは北朝鮮を攻撃するつもりがあるのか?

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核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対して、アメリカと中国が裏で手を組み、金正恩政権の崩壊を画策するなか、2017年4月、ドナルド・トランプ政権が原子力空母を朝鮮半島周辺に派遣するなど、一触即発の緊張状態になりました。

アメリカが本気で北朝鮮を攻撃すれば、北の反撃でソウルが火の海になり、日本本土にも北朝鮮からのミサイルが飛んでくる可能性もニュースで報じられました。

北朝鮮が一線を越えなかったことで、最悪の事態は回避されましたが、トランプ政権は、北朝鮮に対する圧力を弱める気配はありません。

アメリカが攻撃を仕掛けるとすれば、空爆によって管制システムを破壊し、核ミサイルの発射を未然に防ぐと同時に、金正恩の殺害も狙うことになるでしょう。管制システムと指導者を同時に失えば、北朝鮮は核ミサイルを発射することは難しくなるからです。

米軍は作戦プランを立てて、実戦に即した訓練もしているはずです。しかし、米軍が北朝鮮を攻撃した場合、北朝鮮の反撃を招くことになり、日本も無傷ではいられません。もちろん、日本の在日米軍基地は攻撃対象に含まれますし、東京などの都市に向けて弾道ミサイルが発射される可能性もあります。

トランプは「レッドラインを越えたら容赦なく攻撃する」と言っていますが、同盟国である日本や韓国の犠牲をどこまで許容できるのか、トランプ政権内部で深刻な議論が続いています。これを金正恩が「トランプの弱さ」と誤認し、さらに緊張を高めていけば、破局は突然やってくるでしょう。

茂木 誠 駿台予備学校 世界史科講師

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もぎ まこと / Makoto Mogi

ノンフィクション作家、予備校講師、歴史系YouTuber。駿台予備学校、ネット配信のN予備校で世界史を担当する。著書に、『経済は世界史から学べ!』(ダイヤモンド社)、『世界史で学べ!地政学』(祥伝社)、『超日本史』(KADOKAWA)、『米中激突の地政学』(WAC)、『テレビが伝えない国際ニュースの真相』(SB新書)、『政治思想マトリックス』(PHP研究所)、『「保守」って何?』(祥伝社)、『グローバリストの近現代史』(ビジネス社・共著)、『バトルマンガで歴史が超わかる本』(飛鳥新社)、『「リベラル」の正体』(WAC・共著)、『「戦争と平和」の世界史』(TAC出版)、『ジオ・ヒストリア』(笠間書院)など。

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