中国はなぜ北朝鮮の暴走を止められないのか 「世界史」から考える、北ミサイル問題

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中国と北朝鮮が友好関係にあるなら、現在のように北朝鮮が核兵器やミサイルの開発に躍起になっている状況を説明できないでしょう。核保有国の中国が本当に北朝鮮を守ってくれるなら、北朝鮮は核開発を急ぐ必要はありませんよね。北朝鮮から見ても、中国はいざというとき助けてくれないだろうと確信しているのです。

なぜ朝鮮半島はこれまで独立を維持できたのか?

朝鮮人は、中国のことをどう思っているのでしょうか。

歴史的にいえば、朝鮮は約2000年前の漢の時代から何十回も中華帝国に攻め込まれてきた過去があります。漢の時代は、朝鮮半島北部まで植民地になり、「楽浪郡」という行政機関が置かれていました。そうした苦い記憶があるので、朝鮮人にとってのいちばんの脅威は、いつの時代も中国です。

しかも朝鮮人は少数民族。中国とまともに戦っても勝てる見込みはありません。

そこで朝鮮は、国の独立を保つため、2つの方法を取ってきました。

ひとつは、朝貢です。中国の皇帝に貢物を捧げ、君主として認めてもらう。形式上は頭を下げておき、その代わりに軍事占領されることを回避してきました。もうひとつは、ほかの大国と手を組むこと。つねに強者の側について安全を確保する。この朝鮮独特の生き残り戦術を「事大(じだい)主義」といいます。「事」は「つかえる」。「大国につかえて」生き残るのです。近代に入って中国の力が弱まると、ほかの大国と手を結んで中国の脅威に対抗してきました。

朝鮮の宗主国だった清朝が日清戦争に敗れると、朝鮮は日本と結んで独立を宣言し、三国干渉で日本がロシアに屈すると、今度はロシアと手を組むことを画策します。

ところがロシアが、1904年に日露戦争で日本に敗れました。

すると朝鮮は、ロシアではなく日本と手を組もうと前のめりになります。その結果、1910年に韓国併合に関する条約に調印。日本が朝鮮総督府を置くことになったのです。

「韓国併合」というと、日本が無理やり韓国を占領したというイメージをもっている人が多いでしょうが、もともとは「日韓合併」と呼ばれ、韓国側も積極的だったともいえるのです。

当時、韓国では「一進会」という政治結社が中心となって、ロシアに勝利した日本の力を借りて韓国の近代化を目指そうという運動が活発化していました。韓国にも大日本帝国の一部になって発展を遂げたい、と考える勢力が存在したのです。実際、日本の統治時代を通じて、1919年の「三・一独立運動」を除いては、大規模な独立運動は起こりませんでした。日本の力が圧倒的だったからです。

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