福井信英
就職活動中の学生にとって、最も誤解されている言葉の一つが「リーダーシップ」だろう。
「先頭に立ち、皆を引っ張る」ことがリーダーシップと思われがちだ。しかしビジネスの世界ではリーダーシップに関する理論はさかんに研究され、日々進化している。リーダーシップという言葉の意味をしっかり理解することが、自分自身の能力を高め、将来の可能性を広げるはじめの一歩となる。
就職活動中の皆さんから「グループディスカッションのとき司会に立候補してリーダー役を担当した方が良いのでしょうか」という質問をたいへん多く受けた。今でこそ少なくなったが、5年くらい前までは本当によく聞いた。実際はどうかというと、「司会やります」といってグループディスカッションを行ったとしても、決して選考に有利にはならない。
「グループディスカッションでは司会に立候補しリーダー役をやったほうがいい」。これはもはや就職活動生にとっての都市伝説みたいなもので、今はもう信じる就活生も少なくなったと信じたいが、こういう都市伝説が生まれた背景には心当たりがある。8年ぐらい前に支援した会社の選考過程の話だが、グループディスカッションの通過条件は、「リーダー役を担当した人か、それに準ずる貢献をした人」という形で明確にグループディスカッションの通過条件が記載されていたのだ。他にも同様の条件を設けていた会社があっただろうから、その条件が、どこかから漏れ伝え、言葉が一人歩きしてしまったのだろう。
実際には、「リーダー役」という言葉にはとても深い意味がある。この言葉をしっかり理解していただくために、現在のビジネスフィールドで主流となっている「リーダーシップ論」を説明していきたい。
「リーダーシップ」という言葉の定義は様々だが、ビジネスの世界で流通し、皆が納得できる普遍的な定義をひとつあげるとすると、
『人の心に働きかけて、啓発と動機づけによって人を動かすこと』
ということができるだろう。
しかし、「リーダーシップ」という言葉は一人歩きしがちだ。したがって、求める人材像に明確な形で「リーダーシップ」と記載している会社は多くはない。ただし、業界で1位2位を争っている大手企業、世界を相手にビジネスをしているグローバル企業であればあるほど、「リーダーシップを発揮できる人材を求めています」ということを、誤解を招かないように表現している。
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