(第14回)戦略から、組織へ、組織から人へ ─ リーダーシップの磨き方 ─

(第14回)戦略から、組織へ、組織から人へ ─ リーダーシップの磨き方 ─

福井信英

 前回に引き続き、「リーダーシップ」に関して述べたい。

 リーダーというと、「皆の先頭に立ち、メンバーをぐいぐい引っ張っていく」イメージを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。読者の中にも、「私にはそれは無理だな…」と考え、リーダーシップを発揮することを最初からあきらめている方もいらっしゃることと思う。

 そういう方は、まず「リーダーシップには様々なスタイルがある」ということを知ると良い。

 たとえば、「指示型リーダーシップ」とよばれるスタイルがある。これは、組織の構成員がまだ未熟な場合に力を発揮するスタイルだ。細かくわかりやすい指示を出し、組織の方向に沿った動きをさせる。たとえば、サッカーの日本代表監督であった、トルシエ氏やオシム氏がこのタイプのリーダーシップを効果的に発揮している。未熟な構成員に対して、組織のやり方や枠組みを提示し、まずはそれを理解できるようにわかりやすい指示で皆を鍛えるというスタイルだ。

 これに対し、同じく日本代表監督を務めたジーコ氏が発揮したスタイルは、「支援型リーダーシップ」と呼ばれるものだ。支援型リーダーは個々のメンバーの力を見極め、個々のメンバーの力を最大限に引き出すように導き、支援する。メンバーの自主性と人間関係を重んじ、メンバーを対等の人間と見なし、尊重する。構成員の能力が高く、成熟した組織の場合、このリーダーシップは最大の効果を発揮する。
 残念ながらジーコ氏は日本代表では思うような結果を残せなかったかもしれないが、欧州のクラブチームであるフェネルバフチェの監督になってからは、チャンピオンズリーグでトルコリーグ初のベスト8にチームを導くなど、素晴らしい実績を残している。また、中村や加治、宮本といった選手の能力を見抜き、活かした点は見逃せない。ジーコ氏のスタイルは欧州や南米の有力チームであればともかく、日本代表にはまだ早すぎたのかもしれない。
 弁護士事務所やコンサルティングファームなど、独立したプロフェッショナルが集う組織で効果的に機能するリーダーシップスタイルでもある。

 痛みを伴う大きな変革が求められる時に効果的に機能するのが、「ビジョン型リーダーシップ」だ。あるべき姿を指し示し、途中どんな困難があろうとも、あるべき姿の実現に向けて、妥協せず突き進む。ビジョン実現の過程の中で周囲との軋轢は生むが、ビジョンを具体的に体現する象徴的な(シンボリック)行動をとったりしながら、変革に向けて突き進む。織田信長や、小泉元首相、スティーブ・ジョブズなどがこのタイプのリーダーシップを効果的に発揮している代表例だ。日本という国家の運営に、今最も求められているリーダーシップだと思うが、周囲との軋轢を回避しようとする傾向の強い、日本人にはあまり存在しないタイプのリーダーだろう。

 最後に紹介するのは、「参加型リーダーシップ」だ。ビジョン型リーダーシップと対をなす存在で、ビジョン型リーダーが、痛みを伴う変革を実行し、組織がバラバラになりそうになるところを、組織の中心に飛び込み、メンバーをまとめ、変革の重要性と実現可能性を行動を伴って示す。ソニー創業者の一人であり、井深氏が掲げたビジョンを資金面と営業面全般で支えた、盛田昭夫氏が参加型リーダーシップの典型と言える。歴史上の人物で言うと、豊臣秀吉などがこのタイプになるのだろうか。

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