福井信英
さて、前々回公約した通り、「エントリーシートの書き方」に関して述べていきたい。
個人的には、あまり型にはまった書き方は好きではない。
しかし、独創性あふれる人は必ず基礎もしっかりしている。
たとえば、20世紀を代表する偉大な画家であり、キュビスムの創始者であるパブロ・ピカソは遠近法を放棄した抽象的な絵(ゲルニカなど)が有名だが、最終的に行き着いた境地がキュビスムであり、そこに至るまで作風はめまぐるしく変化している。そして、それぞれが高い評価を得ている。
剣豪・宮本武蔵と言えば二刀流だが、二刀流は晩年身に付けたものであり、決闘のほとんどは一刀で行っている。王貞治の一本足打法、イチロー選手の振り子打法などもすべて、高い基礎技術があった上で初めて成り立つものだ。
また「守・破・離」という言葉がある。もともとは伝統芸能の世界の言葉とも武道に由来する言葉とも言われているが、ものごとを学ぶときの基本的な考え方を示した言葉だ。「守」は師の教えを守り、基本となる型を身に着けること。「破」は自分自身で創意工夫を加え、師の教えを破る努力をすること。そして最後の「離」は指導者のもとを離れ、自分自身の型を発展させていくことを指す。
「書く・伝える」という行為にもこの「守・破・離」という考え方が使える。
今回は、「初めて書くエントリーシート」という前提で、思いのままに奔放に書くのではなく、まずは基本に忠実に自分自身をふり返りながら、書く方法を伝えていこうと思う。
今回伝えるのは、
「自己PR」
「学生時代に一番頑張ったこと」
「学生時代に最も印象に残った出来事」
「あなたの長所・強み」
といったテーマで書くときに使える方法だ。
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