最近はあまり耳にしなくなったが、毎年この時期は、いわゆる「五月病」を発症する人が増える時期でもある。学生生活を終え、社会人として新しい環境での生活をスタートさせた新入社員のなかには、早くもここで離脱するケースがあり、風薫る快適な陽気とは裏腹に(だからこそ)、注意が必要な時期でもある。
さて、「新入社員の3年定着率」ランキングの最終回は「男性編」。前々回の全体編、前回の女性編同様、定着率の上位500位のランキングを見ていこう。
男性新入社員の定着数最多は中国電力
2013年4月に入社した男性新入社員の3年後定着率が100%、つまり1人も辞めなかった企業は169社に上る。多くの新入社員が、五月病をものともせず、3年間頑張ってきたわけだ。
このうち184人と最も多かったのが中国電力。同社は女性新入社員36人も全員が4年目を迎えており、男女合計数でも最も多い人数だ。これだけ多くの新入社員が3年間1人も欠けなかったのは、会社がさまざまな福利厚生や諸制度、教育・研修体制を整え、働きやすい環境づくりを行ってきたことが最大の要因であることは言うまでもない。
これに加えて、「全体編」でも指摘したように、電力会社は地域経済における中核企業であって、他業種と比べても安定感があり、そこに入社するということはエリートとして周囲から一目置かれる存在となることから、新入社員の皆さんが自信と自覚を感じていることも、理由の1つと考えられる。
2番目に多かったのが島津製作所の100人。女性新入社員29人のうち1人が辞めているため、全体順位では119位だった。
同社は1909年に国産初の医療用X線装置を開発したのをはじめ、その後も日本初、世界初の製品をいくつか開発しており、技術力には定評がある。同社社員の田中耕一氏が2002年のノーベル化学賞を受賞したことは、周知のとおりだ。
同社の新人教育の一端がホームページに紹介されているが、それによると、入社後の4月に1カ月間の集合研修が行われ、その後、営業・管理系は2日間の講座受講の後、各職場に配属される。一方、技術・製造系はさらに3カ月間の専門研修で機械や電気、ソフトウエアの基本を学んだ後、各職場に配属されるという。
もちろん、その後も1年間は各職場でのOJTが続けられる。これだけみても、かなりの充実度という印象を受ける。入社5年目頃には「武者修行」と称する2年間の海外派遣研修もあり、グローバルに活躍したいと考えている人にとっては、次なる目の前の目標として、モチベーションも高まるに違いない。
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