「男性新入社員に優しい」ホワイト企業500社 入社3年後定着率の高い会社を一挙紹介

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新入社員の入社後ギャップは「仕事内容や配属」が最多

ここまで、新入社員の3年定着率について、3回にわたりランキング形式で紹介してきた。3年前の新入社員数とその3年後の在籍数を比較したデータによって、業種ごと、企業ごとの動向などを解説してきた。しかし、われわれの『CSR企業総覧』調査では、数値データは把握することができるが、特にこのテーマでは、入社してから3年以内に辞めた人の理由などはわからない。

就職活動中は、OB・OGに話を聞いたり、会社の説明会や各種の資料から企業の調査を行ったりして、自分が入りたい会社、自分がやりたい仕事ができる会社を選んだつもりでも、いざ入社してみると、思い描いていた姿とは違っていることは珍しいことではない。また、就活中には見えなかった(見せなかった)“ブラック”な一面があったり、人間関係がうまくいかなかったりと、辞める理由は人それぞれだ。

そんな新入社員の入社後のギャップについてまとめた調査がある。転職・就職リサーチサイト「Vorkers」を運営するヴォーカーズが発表した「新入社員の入社後ギャップ」という調査で、2014~2016年に新卒入社した社員・元社員が感じたギャップに関する口コミ約4500件を集計・分類したものだ。

新入社員が入社後に感じたギャップで最も多かったのが「仕事内容や配属」に関するもの。同社では「多くの企業が新卒採用において総合職採用を行っていることから、希望の『会社』には就職できても、希望の『仕事』ができるとは限らない」からと分析している。確かに、大企業ともなると、場合によっては入社してそのまま子会社出向という配属もありえないことではない。

2番目に多いのが「組織の特徴や社風」についての内容。これは事前にわかっておいたほうがいいが、就職活動という短くて忙しい時間のなかでは、なかなか厳しいのも事実だろう。以下、3位「成長環境やキャリア開発」、4位「ワークライフバランスや勤務時間」、5位「給与や待遇、福利厚生」と続く。

こうしてみると、やりたい仕事や思い描いている将来のキャリアプランと実際に入社してからの現実とのギャップを感じている若者が多いということがわかる。給与や福利厚生、ワークライフバランスなどがそれほど多くないのは、就活中に事前の調査で把握できているからだろう。

この調査結果と、われわれのデータを併せて考えると、こうしたギャップを小さくすれば、入社して3年以内に辞めてしまう人はもっと減るのではないだろうか。そのためには、企業側は制度面だけではなく、より具体的な業務内容やキャリアプランについての情報を提供する一方で、就職を希望する側も同様に待遇や制度面だけではなく、自分がやりたいことや将来の姿をある程度固めたうえで、情報収集や就活に臨むことが必要になってくる。

それでも完全に希望が通ることはないのが現実だ。かつては希望する部署や仕事ではなくとも、何年か頑張って実績を上げ、希望の部署に異動できるようアピールしていくというやり方が一般的で、そうして希望をかなえてきた人も多いはずだ。今でもそういうやり方が主流だとは思うが、必ずかなうという保障があるわけではないので、辞めてでも自分の思い描く道を進もうという人が増えているのかもしれない。

新入社員の3年定着率が100%の会社は、働きやすい「良い会社」であることは間違いない。では、100%ではない企業は「良い会社」ではないのか。社員の独立を支援する制度を持つ企業もあれば、一度辞めた社員を再雇用する制度がある企業もある。働き方の多様性が求められる時代、一部のブラック企業を除き、新入社員が最初の3年間に辞めたか辞めなかったかを問うことの意味は薄れてきているといえる。

加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

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かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

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