4月に入り、街で新入社員らしき真新しいスーツに身を包んだ若者を見掛ける時期になった。この春、学校を卒業・修了した彼ら、彼女らが今月、初めての給料をもらう。一生に1度の経験となる初任給だ。学生アルバイトではない社会人の立場になって初めて稼ぐ月給である。
そんな初任給はどんな企業でどれぐらい支払われているのだろうか。東洋経済オンラインは、昨年に続いて『会社四季報』(東洋経済新報社)編集部と協力して、「初任給が高い」企業を調べ、その上位500社をランキングした。
『会社四季報』2017年春号(発売中)では、上場企業(約3600社)へのアンケートによる回答データを基に、3016社の初任給データを誌面に掲載している。回答率は全上場企業の8割強とかなりの企業数をカバーしており、ほぼ全体的な傾向をつかんでいるといえるだろう。
IT系企業が上位に目立つ、最低は15万円
最低は15万円、単純平均すると21万0574円だった。調査票は1月中旬に発送し、ランキング対象は、原則として締め切りに設定した2月下旬までに回答した企業に限っている。参考データとして各社の平均年収、平均年齢を加えた。初任給は月収ベースで基本給額の比較としており、年俸ベースで回答した企業は集計対象から原則省いた。一部の企業は採用実績に基づかないモデル賃金で回答している。
1位は日本商業開発。調査開始以来、3年連続でトップとなる同社の初任給はなんと50万円だ。本社は大阪市中央区。テナントによる商業施設建設を前提として底地取得、売却益を得るビジネスを展開している企業だ。
2014年4月に入社した新入社員が新卒1期生。それまでは中途採用のみだったが、新卒を採っていくにあたり、将来の幹部候補として優秀な人材を確保するため、「超難関企業」と銘打って初任給を高く設定。PR効果を狙った側面もある。
2位も昨年に続いてGCA。M&A(企業の合併・買収)助言を主業とする企業で、平均年収2153万円は文句なしのトップクラス。それにつれて初任給も高めの設定となっている。いわゆるIT系の会社が上位に並んでいるのも特徴といえるだろう。
一方、初任給が高いからといって、その後の給料の高さや企業の規模、収益性などとは必ずしも結び付かない点には注意だ。473位の22.0万円に140社が並んでいることが象徴するように、多くの企業が初任給は世間一般的な相場や業界他社との「横並び」を意識している側面があることは覚えておきたい。また、中には「みなし残業代」「固定残業代」などが含まれているケースもあり、就活生は初任給の中身も確認しておいたほうがいいだろう。