2017年の春闘(春期労使交渉)が大詰めを迎えている。労働組合が企業に賃上げや賞与(ボーナス、一時金)、労働条件の改善などを要求するこの時期の恒例行事だ。そのうちの1つボーナス交渉では、労働組合の要求額に対して満額回答する企業がある一方、業績の厳しい会社では逆に昨年よりも支給額を減らす傾向もみられる。
賞与は企業に勤めるビジネスパーソンにとって最大の関心事の1つ。その賞与が実際にどんな企業で、どれぐらい支払われているのだろうか。東洋経済オンラインは、昨年に続いて『会社四季報』(東洋経済新報社)編集部と協力して、「2016年に賞与支給額が多かった」企業を調べ、その上位500社をランキングした。
『会社四季報』2017年春号(発売中)では、上場企業(約3600社)へのアンケートによる回答データを基に、就活生向けの企画として「2016年賞与支給額」「残業時間」「有給休暇取得日数」「3年後低離職率」「2017年内定者数」などのランキングを特集。このうち今回の賞与支給額について回答した企業は991社(回答率は約27%、金額ベースでの回答のみ、+○カ月などの変則回答除く)。平均は約120.3万円で前年比1.7万円増だった。誌面では100位までしか掲載していなかったが、データを追加した拡大版として紹介する。
回答のあった賞与支給額は原則として従業員平均または組合員平均(注記あり)が大半となっている。
あくまでアンケート回答企業の中でのランキングとはなるものの、有名企業も数多くランクインしており、傾向もつかんでもらえるはずだ。調査票は1月中旬に発送し、原則として締め切りに設定した2月下旬までに回答した企業に限っている。参考データとして各社の平均年収、平均年齢(原則、各企業の掲載ページデータを使用)を加えた。なお、原則として賞与支給額は暦年ベース、平均年収は各社の年度ベースとなっている。
トップはFX大手のヒロセ通商
1位はヒロセ通商。賞与支給額は何と563.9万円だ。独立系の外国為替証拠金取引(FX)大手。小口の個人投資家向けが顧客の中心で、イギリスや東南アジアにも拠点を持つ。アメリカのトランプ大統領誕生で為替の変動率が高まり、取引量が増加。収益を大きく拡大していることから、従業員への還元を高めている。前年から5割以上増えたことから、賞与は業績連動の要素が大きいようだ。
2位はディスコの332.6万円。半導体、電子部品向け切断、研削、研磨装置で世界首位のメーカーだ。半導体需要が堅調でここ最近は高水準の利益を出しており、従業員への還元も手厚い。
3位はケネディクスの325.2万円。独立系不動産ファンドを運営する企業だ。資産運用残高は最大手級。不動産市場の活況を受けて業績も堅調に推移している。
このほか上位にはJXホールディングス系の舗装大手、NIPPO(4位、318.4万円)、大本組(5位、306.1万円)、ショーボンドホールディングス(15位、261.5万円)、大成建設(16位、259.4万円)など建設系の会社が目立つ。建設業界では東日本大震災からの復興需要に加え、東京では五輪の開催を見据えた再開発プロジェクトが次々と始動。需給は完全に逆転し、業界の人手不足が問題にされるほどの活況で、それが従業員の賃金にも反映されている。
年間200万円以上をもらった企業は84社と全体の1割弱。回答がなかった上場企業や未上場企業に当てはめてみても、半期当たりに直して賞与100万円以上をもらっている企業の従業員は、言うまでもないがうらやましがられる水準だ。